林秀樹「プロダクトアウトはド底辺ホールへの一本道」

2016.04.30 / 連載

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(55) 風土を変えろ!

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。今日から5月です。GW真っただ中であり、この時期はどのお店もまずはGW後に備えて利益重視営業をしていますね。今年は自粛でGW後の入替ができない以上、落ち込むことを想定して例年以上にしっかりと利益を残すことが求められます。

さて利益を残すための営業をするにしても、実際に店舗でオペレーションをするのは現場のスタッフです。そのスタッフがモチベーション高く頑張ってくれないとお店の士気は上がりません。今回はそのスタッフに関するお話です。

あるお店のお話です。このお店は新人が入ってきてもすぐに辞めてしまい、恒常的に人手不足でした。そうなるとそれなりに経験のあるスタッフはほとんどおらず、最初に少しの説明があった後は満足な教育もなくいきなり現場投入となります。つい最近にはなんと、入店1週間のスタッフが新人に業務説明をする教育係になるという事態まで発生しました。これは大問題です。

もちろん私は「これはいけない」と店長に注意をしたのですが、「人員不足なんだから仕方がない」という言い訳で押し切ろうとします。さてこの事例、どこにどんな問題があると思いますか?

「人手不足解消のためにできることをちゃんとしていたのか?」
「シフトの組み方に問題があるのではないか?」
「接客という仕事を軽視し過ぎではないか?」

など、いろいろ問題が浮かびますね。しかし上記はどれも「結果、事象」です。本当の問題点はもっと奥深いところにあります。

本当の問題点、それは「このお店の社風、風土、根本の考え方に問題あり」という点です。そして問題となった「風土」は「自分優先」です。

今回の事例でいえば、
・接客レベル維持と、シフトの都合のどちらが優先されたか
・教育を任されるスタッフの不安と、シフトの都合のどちらが優先されたか
・教育される新人の今後の成長と、シフトの都合のどちらが優先されたか
で、すべてにおいてシフトの都合を優先しています。

つまり「相手よりも自分を優先する」ことが風土となっているのです。もちろん、この店長も入店1週間のスタッフが新人教育をすることが正しいとは思っていないはずです。しかし、シフトの手当てをすることよりもスタッフに無理を強いることで目の前の難局を乗り切ろうとしており、「何が正しいか」の認識がずれています。

「風土」というものはさまざまな場面で出てきます。今回の事例ではスタッフ教育の場面でこの風土が現れたのですが、このお店の風土は「自分優先」なので、例えば入替、例えばイベント、例えば調整などなど、すべてが「自分の論理が出発点」となってしまいます。そうなるとお客さまはこのお店に魅力を感じなくなり、稼働が落ちていくでしょう。まさにプロダクトアウト、ド底辺ホールへ一直線!です。

風土、社風というのはこれまでの蓄積で出来上がってきたものであり、なかなか変革させることは難しいかもしれません。しかし、現在の状況は過去行ってきたことの結果です。今のド底辺という結果はこれまでの自分、会社、お店の考えに沿った行動の結果で出来上がっています。だからこそ、今まで当たり前だと思っていたことの一つひとつについて考え直してみてください。風土を変えないと、いつまでたってもド底辺脱却は不可能ですよ!

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。

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