林秀樹「パチンコ店での仕入れって何だか分かりますか?」

2017.12.02 / 連載

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(138) 計数管理。(2)

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。2017年12月21日(木)、東京ガーデンプレイスにて綜合ユニコム社主催の計数管理セミナーを開催いたします。今回は時間を10:00~17:00の7時間として一日で基礎から応用、実践活用までをお伝えすることになっており、
・基礎編:基本用語と計算式の理解
・応用編:基礎編で理解した計算式を使っての遊技機シミュレーションの組み方の理解
・実践編:日々の遊技機管理や放出タイミングの設定、月間進捗管理の理解
といった内容を予定しています。
前回から4回に分けて12/21(木)実施の計数管理研修を基にした「計数の考え方」をお伝えしており、2回目の今回は「割数」についてです。

パチンコ店で管理する指標の中で、特にこの業界独自のものとして「割数」があります。損益分岐の割数に対して当日の割数を見ることによってその日の利益率がわかる指標とされていますが、実はそうではありません。一般的な商売を簡易的なモデルで表すと、

利益=売上-原価(仕入)

と表すことができます。例えば売値1,000円で仕入れ値が400円だったら利益は600円、利益率は60%となります。

これはパチンコ店でも同じです。パチンコ店も「商売」ですから、売上から仕入れ値を引いた残りが利益です。ではパチンコ店における売上とは、仕入れとは何が相当するのでしょうか。まずパチンコ店における売上は貸玉×貸玉料金、つまり日々の売上がそれにあたります。これはすぐに思い当たるでしょう。問題は「仕入れ」です。

実は一般的な商売でいう「仕入れ」は、パチンコ店においては「景品交換額」に相当します。「出した玉数を金額換算したものが、仕入れ」です。「出したものが仕入れ」というのは少々ややこしく感じますが、上記利益の計算式「利益=売上-原価(仕入)」をパチンコ営業に当てはめれば理解もしやすいかと思います。つまり「利益は、売上から景品交換額を引いたもの」ということを計算式に当てはめれば、こうなることがわかるはずです。そして「日々の景品交換額が仕入れ」になるのですから、交換の比率を表す「割数」が仕入れを表す指標となります。

さて、店舗管理者としては立てた計画の利益を確保することが求められ、その利益の確保をするために遊技機の運用シミュレーションをして割数を決める作業をしていると思います。このとき、「利益が〇〇円必要だから割数は△△で~」というような決め方が多く、その決め方の視点は(もちろん)利益に向いています。例えば11.2割分岐のお店であれば「10.08割にすれば利益率は10%」という考え方です。

しかし、そもそもの割数の意味からすればこの考え方は間違っています。前述のように割数は仕入れ(原価)を表す指標なので、割数を決めるということの意味合いとしては「どれだけ、出すか」を決める作業なのです。もちろん利益額と仕入額、利益率と原価率は表裏一体なので同じことだと思われるかもしれません。それでも捉え方を変えることで、「お店(自分)の論理を考えるのではなく、お客様のことを考える」と視点が変わります。

「商売」はお客様に支持される、喜ばれることをするのが基本です。パチンコ店も同じであり、すべての数値はお客様の満足度を向上させるために活用します。割数も「利益管理の指標」としてみるのではなく「出し方の管理」と捉えることでお客様目線の数値にかえることができるのです。遊技機管理、店舗管理の指標としてとても重要な数値だからこそ、その捉え方を変えてみてください。

今回は文字数も多くなってしまいましたが、割数にはもう一つ重要な「捉え方の変革」があります。次回も引き続き割数の捉え方をお伝えします。


● 綜合ユニコム様主催セミナーのお知らせ
12/21(木)、東京ガーデンパレスにて綜合ユニコム㈱様主催「計数管理セミナー」を実施いたします。今回は7時間で集中的に計数の理解を図る、非常に濃い内容です。
詳細は下記をご参照ください。
http://www.ab-c.jpn.com/630.html

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。

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