林秀樹「ド底辺ホール的〝出し損〟悪循環の断ち切り方」

2016.12.31 / 連載

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(90)「ジリ貧パチンコホール復活プロジェクト」出版(5)

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。新年あけましておめでとうございます。今日は1月1日、元旦です。気持ちも新たにいきましょう。

さて幻冬舎刊「ジリ貧パチンコホール復活プロジェクト」、読んでいただけましたでしょうか。今回も前回に引き続きこの本の内容を簡単にまとめてお伝えします。今回は第5章「営業計画の見直し」についてお伝えします。

稼働の低いド底辺ホールでは「これ以上の稼働の低下」は許されません。しかしそうはいってもド底辺の現場では常に「利益最優先」が求められます。特に最近はいわゆる「暴発」という表現でいわれるように、意図しない出方をする機種が増えています。そうなると往々にして月半ばにあっても計画に追いつかない事態も出てきます。

そこで仕方がないので月末にかけてはシメ一辺倒の営業を続けることになり、何とか月末にそれなりの結果になればホッとして「月も変わったしいつまでもお客様にキツイ営業を強いるのは良くないから、少し緩めなければ」と考えて月初は甘めに営業してしまいます。するとまた月半ばには利益計画が追いつかなり・・・という悪循環のサイクルにどっぷりと嵌っていくのがド底辺ホールです。

わたしの支援先にもこういったお店はいくつもありました。月の前半は「稼働回復のため」という考えから「出す」営業をするのです。しかしこれは「稼働を上げるため」ではなく「前月終盤のシメによる落ちた稼働を戻すため」の施策であり、どちらかというと「後ろ向き」の考えによる施策です。これではいつまでたっても上向きのサイクルには進めないです。

遊技客の事情や心理を読んで「出す」「取る」という変化を付けるのはパチンコホール営業の基本なので、「ある時期には出して遊技客を呼ぶ」という判断は間違いではありません。ただし月間目標があるため、前半で取れなかった利益分は月の後半で取らねばなりません。一応、月間のノルマをクリアできるよう計画を組んでいても、前述のように暴発してしまった日が前半に何日かあると、前半の利益が極端に落ち込むことがあります。後半の営業では異常に大きな利益を取る必要に迫れ、まったく出せなくなってしまうのです。特に25日以降は計画を達成するために、なりふり構わない営業をせざるを得なくなります。

こういったお店は、
「何とか目標をクリアして月が変わると、遊技客が離れないよう慌てて出す」
「月末には目標達成が怪しくなるのでまた無理やりに取る」
というサイクルができてしまうのです。

回転数や玉利益の細かな変化を遊技客はそれほど敏感に察知するわけではありませんが、まったく出ない日が続けば、「あのお店は出なくなった」と判断します。そういった印象を変えるために前半に出しても、後半で異常な取り方になってしまっては結局元に戻るどころか、前半に出した分だけ「出し損」です。

こういった「悪循環、悪いサイクル」を断ち切るためには、「まず必要な利益を取る」、いわゆる「前半主義」の考え方を取り入れるべきです。つまり上記とは全く逆のサイクルで「前半にできるだけ多めの利益を確保しておく」ことが良い循環への道筋となります。

「順番が入れ替わっただけで、長い目で見れば同じことではないか」
こう考える方がいるかもしれませんが、明確に違います。利益に追われるプレッシャーは心理的にも余裕のない営業を強いられますが、計画比プラスという余裕の営業では後半に「出すもよし、計画どおりもよし、あえて取って別の機会の原資とするもよし」と戦術の幅がグンと広がるのです。

行動には必ず理論的な根拠を求めて、論理的に進めることが必要です。これからは確実に業界のパイが縮まります。今までのように「勘と経験則」、「過去の成功体験」のみの営業は必ず行き詰まります。これから必要なのは「データに基づいた分析と行動」、「論理的な思考と行動」ですよ。


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「ジリ貧パチンコホール復活プロジェクト」(幻冬舎)
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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。

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