林秀樹「ド底辺ホールは誰のために利益を取るか」

2016.04.16 / 連載

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト第65回
コンサルティングの現場より(53) 利益を取れば、お客様が増える!

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。今年度最初のヤマ場、ゴールデンウィーク(以下、GW)が近づいてきました。今回のGWはカレンダーの関係で最大10連休もあり得るという、近年珍しい長さとなっています。さらに業界的にはサミットによる入替自粛のスタートにも相当し、この期間の集客と利益の確保はどのお店にとっても至上命題でしょう。実際に今日からGWに入るまでの10日間は大規模な入替やリニューアルの案件が非常に多くなっています。これは「GWで集客して、入替のない5月を何とか乗り切ろう」という考えの表れとみています。

そもそも何のために入替やリニューアルをするのか、と言われればそれは「企業として、利益をあげるため」といえます。つまり入替やリニューアルでの集客は「利益獲得のための手段」でしかありません。集客ができても赤字では意味がなく、その意味では決して集客が目的ではないのです。この連載でも何度となく利益の重要性をお話ししてきましたように、稼働が低く利益確保に苦しんでいるド底辺ホールは、集客ではなくまずは利益の確保をすべきなのです。しかし本当に「利益が目的」なのか、というとそれはまた違います。利益はド底辺を脱却するために「第一義的に必要なもの」ではありますが、それはその先の本当の目的を達成するための「手段」でもあるのです。

利益はいったい何のために確保するのか、というとこれは「お客様のため」といえます。

「利益を取ることはお客様のためではなく会社のためなのではないか? お客様のため、というのなら利益を減らしていくほうがいいのではないか? 例えば出玉など……」

こう考えたあなた、だからド底辺ホールから抜け出せないのです。もう一度言います。「お客様のために、利益を確保する」のです。

「利益とは、企業存続の条件である。利益とは、未来の費用、事業を続けるための費用である。諸々の目標を実現させるうえで必要な利益に欠ける企業は、限界的な危うい企業である」(P.F.ドラッカー「マネジメント」より)

経営学者のピータードラッカーはこのように言っています。企業はお客様の支持を得ることで存続でき、その支持を得るためには投資が必要であり、その投資の原資は利益ですから、「お客様の支持を得るために必要な原資=利益が欠けてはならない」ということを示しています。利益があるから玉を出せて、利益があるから遊技機が購入できるのです。お客様のための行動をするために利益を確保するのです。

「ド底辺は、まず利益」、これは過去の連載で何度もお伝えしてきました。そしてそれは、これからお客様のためにするさまざまな施策やアプローチのための費用なのです。

お客様のための行動ができていないからド底辺ホールなのです。お客様のための行動をするために、しっかりと利益を確保してください。利益と稼働、どちらが先か? と言われたら間違いなく「利益が先!」です。

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エ ンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。

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