林秀樹「ド底辺ホールは現場と経営者のベクトルが違う」

2016.04.09 / 連載

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト第64回
コンサルティングの現場より(52) 受け入れろ!

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。やっと暖かくなり春らしい日が続いています。でも、そんな気持ちの良い気候とは裏腹に店舗の業績に目を移すとため息ばかりが出そうな毎日です。そしてそういう時に本社からトップの臨店があると、「なぜこんな数字なんだ~」、「対策はどんなことを考えているんだ~」、「こんなやり方だからうまくいかないんだ~」などという叱責を受けることもあり、そんなときについ思ってしまうのが(実際に口には出さないまでも)、「アンタの考えだと店は良くならないんだよ!現場のこともよくわからないくせに!」という気持ちです。私も店長時代に経験しているのですが、稼働が良い時には「釘が良くできている」と言われ、稼働が落ち込んでくると「こんな釘だから落ちるんだ」などと言われました。何も変えたつもりはないのに、です。こうなるとつい反発をしてしまいたくなるのも無理はないですが、しかしそれでは現状を変えることなど到底できないです。

一般的に良いときには指摘も少なく、良くないときには原因を探る意味もありさまざまな指摘を受けます。それはつまるところ「現在、現状というものはこれまでの行動の結果で作り出されたもの」なので、現状に問題があるならそれはこれまでの行動に原因があると考えられるからです。「ド底辺」という現状はこれまでの行動結果です。だから、今までのやり方ではなく違うやり方を選択すべきなのです。

もちろん、トップや上司の指示するやり方が必ずしも正しいとは限らないです。それでも出された指示に「それは違うのではないか?」とちょっとでも思ったとしたら、それはこれまでとは違うやり方になるので少なくとも今とは違った結果(違った未来)が得られるでしょう。上で少し私の経験をお伝えしましたが(釘の件)、私は指摘後に自分なりにこのように解釈しました。

「昔はこの釘でよかったが、今は違う。昔と同じことをしていたからダメになっていったのかもしれない」

ド底辺の現場で多く見られるのが「現場と経営が同じ方向を向いていない、バラバラである」という光景です。これではたとえ個人個人に力があったとしてもそれをうまく生かすことはできないです。どうしてもトップ(や上司)の出した指示に異論があるとしたら、それは意見としてきちんと伝えてください。その上でトップ(や上司)の出した結論には従い、組織の一員として同じ方向を見なければ力は発揮できないのです。

紀元前の兵法家である孫子はその著「孫子の兵法」で、次のように言っています。

「敵との戦いで勝つために第一に必要なことは、指導者と現場が同じ気持ちで同じ方向を見ることだ。」(始計編、五事七計「道」より)

ド底辺という現状を変えたいなら、まずはこれまでとは違うことをする、これまでとは違う意見に耳を傾ける、そしてトップと同じ方向を見てトップの考えを理解することです。

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。

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