林秀樹「ド底辺ホールはプロデュース力を磨こう!」
2016.06.18 / 連載【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(62) 出玉〝感〟のモト
皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。先日ある友人と話をする機会があり、なかなか面白い話を聞けましたのでお伝えします。
この友人の経営するお店の近くに最近新店がオープンしたので、近くということでちょくちょく見に行っていたそうです。そんな新店の印象を聞くと……。
「最初はものすごく出ていたんですけど、ここ最近はまったく出ていないんですよ。そのせいでお客さんもどんどん減っていて・・・。もっと出さなきゃダメですよね」
この友人、パチンコはしますがそれほどのめりこんでいるわけでもなく、1カ月に1度ほどのいわゆるライト層です。このときは新店ということもあり週に1回程度の割合で行っていたそうで、そんなライト層のこの意見、とても面白いと感じます。パチンコ業界に身を置いている人とは真逆のことを言っていると思いませんか?
つまり彼は「出さないから、減った」と言っています。しかしこちら側(お店側)の意見としてはおそらく大多数が、「稼働が落ちたから出ていないように見えるだけだ」と捉えると思います。もちろん私の意見も後者です。出玉率は同じか今まで以上だったとしても、稼働が下がれば実数としての出玉数は減りますからね。
実はこの友人に会うちょっと前に私もそのお店を視察に行っており、そこで回転数を体感しています。そしてその印象は「週末なのにこの回転数というのは、かなり出す気がある」でした。それなのに一般のパチンコ客の意見は「出さない、出ていない」となっているのです。
そしてもう一つ。
この友人は会話の中で自分の遊んだ台の回転数に一切言及しなかったのです。「出ない」というのは、あくまで周りを見ての印象だけなのです。おそらくこれは「パチンコを遊ぶに際して十分な回転数でありその点で不満を感じなかった」から、逆に印象に残っていないのでしょう。
→「これが当たり前」と思っている。だからこそ自分ではなく周りの状況だけで判断する。
お店を良くする、つまり稼働を上げるためには回転数という「お客さま自身の体験」と同じくらい、もっと別の重要なことがあることを示しています。もちろん回転数が十分で「回らないと思わせないレベル」にあることは必要ですが、それだけでは「出そう、勝てそう」な印象を与えられないのです。それはホール全体の印象、活気、出玉感、清潔感といえます。以前、この連載で私は次のように述べました。(以下抜粋)
~~~~~~~~~~~~~~~~~
「今この厳しい状況でも高稼働を維持している店舗や稼働を上げているホールも存在します。同じ商品構成(機種構成)でいったいどこにこの差が生まれる要因があるのか。それは「面白さを演出するプロデュース力の違い」なのです。
「最近のパチンコは面白くない」、よく聞く言葉です。これは遊技機そのものの面白さを指している場合もありますが、大きくは「パチンコという遊び」自体を指していると捉えられます。だから「パチンコという遊び、遊んでいるそのひとときを面白くさせよう」、そのように考えて改善をしてきたホールが高稼働を維持、または稼働を伸ばしているホール=強豪店なのです。」
(2015.11.15「ド底辺ホール復活プロジェクト」第43回)
~~~~~~~~~~~~~~~~~
「これだけ回しているのに何で稼働が増えないんだ?」と思っているホールさん、今一度トータルプロデュースとしての自分のホールの印象をチェックしてみてください。逆に利益確保が最重要課題となっているド底辺さん、回転数を上げることはできなくてもそれ以外の面=雰囲気、印象、清潔感を改善していくことで「お店の出玉〝感〟(出そうな感じ)」は上げることができますよ!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
(同社ホームページはこちらをクリック)
1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。