林秀樹「ド底辺ホールはどうしてモチベーションが低いのか」

2018.04.14 / 連載

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(157) スキルの前に

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。先週の松山セミナーをご受講いただいた方、ありがとうございました。通常3~4時間でお伝えする内容を1時間にまとめたので少し走り気味となってしまいましたが、お伝えしたかったことをひと言でいうとするならば、「ヒトの成長こそ、差別化の源泉」だということです。モノやカネでの差別化は本当の意味での差別化ではなく、ヒトが変わることこそ絶対に真似のできない差別化要因であり、これこそ資本力の足りない小規模店舗が活路を見出す道だということです。

さてこれまで4回に分けて松山セミナーを基にした内容でお伝えしてきましたが、今回はその流れでもう一つ、ヒトに関することをお伝えしたいと思います。

「ヒトの成長が、差別化の源泉」という考え方に納得される方は多いと思います。そしてすでにスタッフを成長させるための取り組みを始めているところもあると思います。しかしその多くは研修やトレーニング開始当初こそ効果が出ていても、その内徐々に効果が感じられなくなってしまいます。こういったときによく聞くのが、「モチベーションの維持というのはとても難しい」という言葉です。

しかし実はこれは間違いです。確かに開始当初は受講するスタッフは初めての経験で刺激もあるので前向きな気持ちで取り組みますが、これは新しい刺激により「テンション」が高まったからということなのであり、決してモチベーションが高まったのではないのです。

テンションとモチベーション、似て非なるその違いを簡単に言うならば、
・テンション・・・瞬間的、外圧的動機
・モチベーション・・・持続的、内圧的動機
となります。具体的な例でいうと、スポーツなどで「うまくいった時の気持ちの高まりがテンションの高まり、うまくいくための練習を続ける意思がモチベーションの高まり」です。「外部からの刺激により一時的に高まるのがテンション、心のうちから湧き上がる気持ちにより持ち続けるのがモチベーション」ということであり、一般的な研修で得られるのはテンションの高まりなので絶対に長続きするものではないのです。

研修がスキルを教えるものだとテンションアップ効果、「なぜこうする必要があるのか」といった意義や意識の部分を教えるものだとモチベーションアップ効果につながるのですが、現状されている研修のほとんどが「即実践で役立つように」とスキルレベルを上げるものなので、モチベーションは上がることはないのです。

モチベーションを上げるには内面への働きかけが有効です。物事には「直接効果」と「間接効果」があり、直接効果のあるものはすぐに慣れやマンネリが起こってしまうのに対して、間接効果はジワジワと効いてきてしっかりと残るとされています。もちろん、心の内面に働きかけることは間接効果にあたり、だからこそモチベーションの維持につながると言えるのです。

ヒトの差別化のために教育に力を入れることは絶対に必要です。そして業界ごとに必要なスキルは違うので、その為の技術研修は必要です。しかしスキルを得る前に、気持ち、動機に関する研修を行うことが回り道のようで実は最も効果が現れる筋道です。



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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。

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