林秀樹「ド底辺ホールの顧客アンケートが意味ないワケ」

2016.11.26 / 連載

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(85) お客様の求めることを考える

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。今年もあとわずかとなりました。

今年はパチンコの新基準機が続々と登場して入れ替えられていき、気が付けば玉単価が大きく変化しています。確かに玉持ちが良くなったことで若干の稼働貢献は感じられますがそれでも玉単価低下の影響で売上は想定以上に落ちています。稼働はまずまずでも売上が思うように伸びず、これまでと同じ感覚の営業をする(利益率が同じ営業)と玉利が下がって利益が思うように取れないという状況です。11月6日の連載では「こういうときは利益率ではなく玉利や台粗利で考えていくべき」ということをお伝えしました。

ただ、そうはいっても非常に厳しい稼働を強いられている現状、どうしても利益率を上げることで一層の稼働低下の可能性がありなかなか利益率を上げることをためらってしまいます。そして考え付く先は「台粗利=アウト×玉粗利」なので、「玉利の前にまずは稼働を上げよう」と考えます。そして稼働を上げるために何をするか、というと「お客様の求めることを提供する必要がある」と考えて、お客様の考えを取り入れるために顧客アンケートを実施したりします。

しかしこの「顧客アンケート」、実はあまり意味がありません。なぜなら今自店に来ているお客様は、少なくとも今この時点においては周辺の競合店ではなく自店を選んでくれた方たちです。「今の自店に(100%ではないにしても)満足している人たち」に意見を聞いても改善点は浮かんでこないでしょう。またそもそも「今自店に来ていない人たち」こそ今の自店を否定している人たちであり、そういった人たちがなぜ来ないのか、の方が重要なはずです。つまり本来意見を聞くべき対象は「他店のお客様」です。
実際には他店に行っている人たちから意見を聞くことはできません。ではどうするか、というとこれは逆転の発想が必要です。つまり、「今の自店の営業は大多数の人に否定されているのだから、今の考え方・施策をすべて取りやめて違うことをしよう」と考えるのです。

もちろん、今のやり方を捨てることで「今来ていただいているせっかくの(数少ない)お客様まで離れてしまう懸念」もあるでしょう。しかし今来ていただいている人たちはそもそも少数派です。大多数は自店を否定しているという事実の方が重要です。

今いるお客様の意見を取り入れれば取り入れるほど今の営業が加速されることになり、商圏内では少数派の自店のお客様にとっての居心地のいいお店=大多数の来ていないお客様にとっては居心地がよくないのでどんどん敬遠するお店、ガラパゴス化が進むことになります。「お店を変えよう、良くしよう」と思うならまず、今の考えややり方を捨てること。そうすることで他店に行っている人たちが振り向くキッカケになります。入替の方針、台数、機種配置、メンテナンスの手法、販促、色目、音楽、とにかく「変えて」ください!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
同社ホームページはこちらをクリック

1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト, アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社, 林秀樹