林秀樹「ド底辺ホールの他店舗視察はココが間違っている」

2016.02.13 / 連載

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト第56回
コンサルティングの現場より(44) 店を見るな、ヒトを見ろ!

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。今週のタイトルをご覧になりましたか?「店を見るな、ヒトを見ろ!」です。これは私がパチンコ店から転職してコンサルタントになったときに上司に教わった言葉です。「お店の稼働や数字という結果を見るよりも、それを作り出したヒトを見るほうが重要である」、結果としてのお店の状態はそもそもそこにいる人たちが作り上げたものであり、ヒト自体が変わらないと結果は何も変えられないという意味です。

あるお店のお話です。いわゆる低稼働店舗であり、その理由はいくつかあります。
・利益重視の営業をしていること
・入替は中古のみであること
・設備が古いこと
・立地が良くないこと
・その他いろいろ・・・

問題点を挙げればキリがありません。こうした問題点の解決にはやはり資金的なことも必要になるのですが会社からはそういったバックアップは得られない状況です。そのため店長は自身の置かれた状況、会社のバックアップ体制、待遇面など問題、障害となっていることを主任ら部下と話していました。

店長としてみれば、「現状の問題点を把握して指摘している」という考えかもしれません。しかしこういった話はえてして会社批判になりがちです。また、これは「過去志向」です(2015.11.8 Vol.42「問題?課題?」も読んでみてください)。このような会社に対する不平不満を聞かされる部下はどういう気分になるか、考えられないものでしょうか。もちろん、そんなお店で働くスタッフはモチベーションが上がるはずがなく、お店の雰囲気もよくありません。

確かに置かれた状況は厳しいものがあります。それでも「できないこと」ばかりに目を向けて「できること」に目を向けないのでは何も変わりませんし、何も変えられません。現状への不満ばかりで前へ進もうとしないそういった姿勢が、お店の雰囲気をよくないものにしてしまいます。結局のところ、今のお店を作り出したのは自分たちである、もっと言えばそのお店のトップである店長が作り出しているのです。だからこそ、私はお店ではなく「ヒト」を見ます。

この話は支援先での話だけにとどまりません。例えば店舗視察でも同じです。繁盛店、不振店といろいろ見ますが、そこで見るべきはやはり「ヒト」です。笑顔があるか、キビキビしているか、行動が素早いか、などなど。総じて繁盛店はこれらが備わっており、逆に不振店は備わっていないことが多いものです。

「繁盛店は忙しいからモチベーションが上がるだろうし、不振店は稼働が低いからダラけて見えるのではないか」

そういう意見もあるでしょう。しかし私の見方は違います。「モチベーションを上げていくことができるから、繁盛店になっていった」、「モチベーションが上げられないから、雰囲気を悪くして稼働が落ちていった」と捉えます。今は遊技機、設備、調整などのハード面ではほとんど差がない時代です。だからこそ、そのハードを生かすためのソフト面=ヒトの差が大きく出ると考えています。

「できない理由は必要ない。どうすればできるか、を考えろ。」

できない理由をいくら挙げたところで何が変わるのでしょうか。それに気づいた人は、「まずはできること」を考えます。そしてその姿勢が周囲に広がり、お店の雰囲気を変えていきます。数字はすぐには上がりませんが、お店の雰囲気はすぐに変わりますし、変えられます。ド底辺という現状を変えるにはまず自分の気持ちと姿勢から!それは必ず周囲に伝播します。変えられることから変えていきましょう!

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エ ンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。

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