林秀樹「ド底辺ホールのその出玉、出し損になってない?」

2016.09.03 / 連載

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(73) 出す判断の是非

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。

全国的に8月は、15日以降こそ持ち直しているものの前半の業績が芳しくなかったこともあり、月間トータルの成績は非常に厳しい数字でした。本来ならば一年のうちでもっとも稼がなくてはならない月なのにこのような結果となってしまうとのちの営業計画にも大きく響きます。8月のマイナス、もう少し言えば4月からの今期ここまでの計画比マイナスは出来るだけ早めに解消を目指してください。

ところで、今月のように前半で計画を大きく下回る稼働を続けるとどうしても「出さないと!」と思ってしまいがちです。そしてそんなときは、得てして上司から「そんなに利益をとるから稼働が低い、もっと出しなさい」というような指示が出るものです。

「だめな時に手を打っても反応が鈍いので効果が出にくい」ということは過去に何度も経験しているにもかかわらず。確率のうねりが小さかった時ならいざ知らず、今の機種は出そうと思っても出ないし、抜こうと思っても出るものです。ちょっとした変化では何も変わらず、むしろしっかりと出たとしてもその稼働への貢献は微々たるものにしかなりません。結局稼働は上がらず利益は取れず、の「出し損」となってしまいます。

もちろん「稼働が低いから、出していく」というのは対策として有効な場合もありますが、それはポジショニングが違う時、つまり自分たちが強豪、強者の場合です。「だめな時の対策をする」ことは強者の戦略です。ド底辺ホールは弱者として、
・守りを重視する
・機会を重視する
と考えていくべきなのです。

さて、冒頭の話はこれまで何度かしてきたつもりです。にもかかわらず、今回も出してしまう判断をしたお店があり、一方ではしっかりと我慢して利益=将来の原資を確保したお店がありました。8月は全国的に15日以降稼働を持ち直しています。出したお店も、もちろん出さなかったお店もです。出したお店は「あの時出した判断はやはり正しかった!」と考えますが、出さなかったお店も「あの時は時期だけの問題だったから、時期が来ればちゃんと戻るという判断は正しかった。」となります。

どちらも終わってみれば「稼働が回復した」という満足感を得られましたが、手元に残ったものが大きく違います。出したお店は利益の計画比マイナスという負担を手元に残し、出さなかったお店は計画比プラスという余裕を手に入れました。

これから先の年内、入替負担が大きくのしかかることは眼に見えています。当初組んだ年間計画はおそらく3月ごろでしょうから、このような事態(入替機械代の負担増)は想定していなかったはずです。想定していなくとも現実的に対応をしていかなければいけないのですから、計画トントンなだけではなく余剰確保が求められるこの時期にあえて計画比マイナスにしてしまうととんでもないことになることは明らかです。稼働をつけてお店が傾くなんてシャレになりません。

今からでも遅くはないです。この8月に取りきれなかったお店は、9月は必ず利益意を残す方向を堅持してください。9月は、休日回数自体は8月よりも多いという「機会」を有効に活用するようにお願いします!

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。

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