林秀樹「ド底辺ホールに知ってほしい玉単価を下げる意味」

2016.10.08 / 連載

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(78) 玉単価を重視する(2)

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。

10月13日(木)、大阪のホテルモントレグラスミア大阪にて、パチンコを元気にする会様主催の「激変期セミナー」に登壇します。私は第3限目に「ド底辺ホール”転換”プロジェクト」としまして、一般的な戦略論ではなく低稼働店舗に必要な考え方、業績アップの対策をお伝えする予定です。

今回は前回(玉単価を重視する)の続きをお伝えいたします。

前回は「玉粗利は結果論。玉単価のほうが遊技客の体感指標として合う」というお話をしました。玉粗利が同じであっても玉単価=使う金額が多ければキツさは違うということです。なので、
・玉粗利よりも玉単価を見たほうがいい
 と結論付けています。
そこで気にかかるのが、
・玉単価をコントロールできるのか?
ということです。今回はこのことについてお話いたします。

そもそもまず玉単価とはどういったものなのか。計算式は「玉単価=台売上÷アウト玉数」で1玉あたりの売上を表します。この計算式から言えることは玉単価をコントロールするには(上げる、下げるの各々)二つの方法がある、ということです。
● 玉単価を上げる場合
① 台売上を上げる
② アウトを減らす
● 玉単価を下げる場合
① 台売上を下げる
② アウトを増やす

構成要素とそれらの動きで玉単価が変動することはわかりました。しかしこれら2つの構成要素、どちらも遊技客次第で変動する数値であり、こちらから積極的に動かせるものではなさそうです。このうちアウトに関しては上げることができれば苦労はしません。逆に「下げる」なんてもってのほかです。そうすると売上で何とかできないか? と考えることになります。

実は売上のコントロールは”ある程度、できる”のです。

例えば割数を上げようと考えた場合、一般的にはスタート回数を上げます。そうすると当然早く大当たりすることになるので結果的に使用金額を下げることにつながります。この考え方を応用し、「スタートを上げつつ他の項目を減らす」ことで利益率を維持しながら遊技客の使用金額を下げることができます。もちろん早く大当たりすることになるので同じ利益率でも売上が下がることに伴い粗利益額も下がります。そこで、「早く大当たりすることで満足度向上につながるので、稼働は上がる」と考えます。これは「V=F/C」という考え方であり、「V」はバリュー(価値)、「F」はファンクション(機能)、「C」はコストのことで、「分子(コスト)を下げるか分母(機能)を上げれば価値(満足度)が上昇する」という考え方です。

例えばここに計算機があるとします。通常量販店で買えばひとつ1,000円くらいでしょう。この計算機について、
① 同じ1,000円なら、より多機能のほうが嬉しい。(Cが同じならFが上がればよい)
② 同じ機能を持つなら、より安いほうが嬉しい。(Fが同じならCが下がればよい)
といえるはずです。

この考え方はどの業種にも当てはまります。当然パチンコ業界でも当てはまります。例えば「機能=回転数、コスト=使用金額」とするならば、
① 同じ回転数なら、少ない金額が嬉しい。
② 同じ使用金額ならより、回るほうが嬉しい。
「機能=遊技時間」、コスト=使用金額」とするならば、
③ 同じ遊技時間なら、少ないお金で遊びたい。
④ 同じ使用金額なら、より長く遊びたい。
となるはずです。

「玉単価を下げるためには回転数を高めて早く大当たりさせればよく、そうなると満足度の向上につながり稼働が伸びる。」

これこそが玉単価を下げることの本当の効果です。2015.2.21「ド底辺復活プロジェクト」Vol.7では、このことをもう少し詳しく解説していますので、そちらも読んでみてください。

なお、参考までに数値を変化させて、同じ利益率・利益額とするシミュレーション画像を掲載します。
(CRスーパー海物語IN沖縄3HME、11.2割分岐で検証)
① 玉単価1.67円のシミュレーション(スタート5.48回、アウト10,000発)
② 玉単価1.59円のシミュレーション(スタート5.80回、アウト10,500発)
ともに利益率15.0%(9.52割)、粗利額は約2,500円です。

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。

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