林秀樹「ド底辺ホールに捧げたいマーケティング用語」

2017.02.18 / 連載

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(97) まず、守れ

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。2月の前半は全国的にとても厳しい稼働でした。著書にも記載しましたが本当に顧客の年齢層が上がっていると感じます。そうしたことも要因の一つになり年配層への依存度が高くなっているので、「年金支給直前」という時期に稼働が(かなり)低下することが顕著に表れていると感じます。

こうした傾向はお店単体の努力で変えることはなかなか難しいと思います。「できないことは考えない」ということで、今考えるべきことは「与えられた条件の中で最大限の結果を求めること」となります。外部環境的に年配層が多いという事実、この条件の中でできることを考えていきましょう。

よく「若年層はフットワークが軽くすぐお店を変えるが、年配層は腰が重くなかなかお店を変えない」と言われます。これはもちろん行動範囲や体力的にあまり回遊をしないということもありますが、年配層は「お店への信頼感」というものが大きなウェイトを占めているものです。「一度なじんだらなかなか変えない」ということです。

逆にこういった信頼度が高い客層というのは一度離反するとまず戻ってきていただけません。「信頼度が高い=よほどのことがないと変えない」ということは、なじんだ雰囲気を捨てるだけのよほどのことがあったと考えられるのです。

「ライフタイムバリュー(LTV)」という考え方があります。これはダイレクトマーケティングから発展した考え方で1990年代頃から注目され始めました。日本語では「顧客生涯価値」と訳されており、「一人の顧客がもたらす長期的な価値と収益を重視することで企業の安定的発展がなされる」とされています。

例えば現在来店されている顧客と継続的な関係を構築すると、
① 安定来店による利益(基礎利益)
に加えて、
② 購買・残高増利益(クロスセル=他の商品購入など)
③ 営業費の削減利益(広告宣伝費の縮小)
④ 紹介による利益(顧客が宣伝することによる広告宣伝費の縮小)
⑤ 価格プレミアム利益(多少高くとも購入していただける)
などが上乗せされるとされています。

マーケティングの経験則である「20:80の法則(パレートの法則)」もほぼ同じようなことを言っていますし、これまたマーケティングの経験則である「1:5の法則」も同じです。これら2つの考え方も新規客より既存客は生涯価値(長い目で見た、収益総額)が高いことを示していて、顧客維持や関係強化の取り組みに優先的な投資を行う重要性を説いています。

「そうはいっても、新しい顧客を開拓しないと。」

こういった意見もでることでしょう。もちろんこの意見も正しいと思います。しかし長期的には新規開拓は必要なことですが、それにはそれなりにコストがかかります。そして新規顧客が簡単に(とは言いませんが)獲得できるなら、今、業績低迷にはなっていないことでしょう。また闇雲に新規顧客数の拡大を図ると、獲得コストが上昇するとともに顧客維持率や利益が低下して結果的に既存客の不満も蓄積されてしまい、LTVが減少するものです。

いま、客数の減少・稼働の減少で厳しい営業を強いられているお店が非常に多いです。こういったときはまずは足元を見て、今一度既存客に目を向けた施策、手法を考えててみてはいかがでしょうか。



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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。

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