林秀樹「ド底辺ホールにもいた!キレる部長&店長」

2016.01.30 / 連載

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト第54回
コンサルティングの現場より(42) 「成功か失敗か」は自分で決める!

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。今日で1月も終わりです。いわゆる「繁忙月」という認識だったことでしょうけれども、結果としてはやはりというか、特に18日以降の稼働激減により利益の確保もなかなか難しかったのではないでしょうか。そうなってくると会議の席では「この難局をどう乗り切るか」がテーマとなり、「忌憚のない意見を~」ということで、いろいろな意見が交わされるものです。

ある会社の会議の場のことです。現状、全社的に計画の利益額に追いついていない状況であり、その原因は大きく2つに絞られました。
①  計画よりも稼働が追いついていないこと
②  計画していた玉利に追いついていないこと
です。こうなってしまった理由を問われた店長は、
・計画の玉利自体が高すぎたから
・計画には追いついていないまでも通常よりは高い玉利で営業したことで、客滞時間が短くなりまた来店頻度も落ちたから
・稼働が厳しい状況でシメをすると余計に客離れが起こるので、これ以上シメられなかったから
との考えを述べました。

ここで「そんな営業をしているから~」という話の展開になってしまっては、過去しか見ていないことになりまったく生産性はありませんが(2015.6.08 第20回「過去を追及しても、今も未来も変わらない!」を参照)、この会議はもう少しまともです。

営業部長「玉利が高い、そのせいで稼働が低いことはわかった。その事実を踏まえて建設的な話をしよう」

そう言った営業部長はさすがでした。会議の出席者はその言葉を聞いて安心し、店長、主任たちは自分の意見を述べていきます。
・今のままの玉利では一層の稼働低下は避けられない、もう少し玉利を下げるべきだ
・離れた顧客に今一度来店してもらうために思い切った入替をすべきだ
・利益計画を見直して放出日を作るべきだ
などなど。いろいろな意見が出ましたが総じて、
・現状の調整では先が見えないので、アケるべき
という論調が多数です。

一通りの意見を聞いた営業部長が出した結論は「もっと玉利を上げて、計画利益額の達成を目指す」でした。現場の意見とは真逆の指示です。

そうなると現場としては面白くありません。会議終了後は店長を筆頭に、今のままでは拙い、だから営業内容を見直さないと先はない、今もっと玉利を上げたらそれこそ顧客離れが進行するなど、部長の出した結論に対して不満続出です。

さてその会議から幾日か後のことです。相変わらず稼働が厳しい状況の中で、主任たちは部長の指示を守りつつもことあるごとに不満を口にします。
「こんなシメをしていたら先がない」
「お客様がどんどん減っている」
「このままではヤバい」
などなど。。。しかし店長は違いました。

「お前たちは何を言っているんだ。今利益を確保しないともっと先が拙い状況になる。今は出しても変わらないからこそ、今は利益を取ることが正しい!」

明らかに、会議の席で店長が自分で発した意見とは真逆です。なぜ店長はあれだけ強硬に「出す営業」を主張したのに、会議後は態度を一変させて部長に同調したのでしょうか。

実は、これこそ「会議のあるべき姿」なのです。「会議では出席者全員がフラットな立場で意見を言い、最終的には決断すべき立場の人間が下した判断に全員が従い、決まったことを進めていく」です。会社として決めたら、後になってそのことについての悪口は言わないこと。全員が心を一つにして課題の克服をめざし、現状を改善することに力を注ぐのです。成功するか失敗するかは、これからの「自分たちの行動の結果次第」なのです。

敵は外です。内部でいがみ合ったり批判し合ったりしていてもまったく何も生み出しません。店長は何も自分の保身のために部長にすり寄ったのではありません。会社として決まったことに全力を尽くす、まさにそういった行動をしているだけなのです。意見は言う、でも、会社として決めたのならその方向性に向かって全力を尽くす、同じ方向を見る。このことをしっかりと実践して、ド底辺からの脱却を目指しましょう。

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。

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