林秀樹「ド底辺ホールが狙うべきは新規客か既存客か」

2017.01.28 / 連載

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(94)新規顧客を追い求めるな!

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。今年の年末年始はまずまずだった、と感じたお店が多いと思います。実際は昨年対比で数字が落ちており、思っていたレベルよりはマシだったというものなのですが。

そしてほとんどのお店で成人の日以降、やはりというか急激に稼働の落ち込みが見られています。この時期は何をしても落ちるものなので仕方がないとして、今すべきことは2月以降にまた回復せるための考えをまとめておくことです。

ただ、「業績を上げたい」、「回復させたい」と思ってもできることは非常に限定的な時代です。そこで「無理」と諦めてしまってはこの先も今と変わらないわけで、「どうすればできるか、変わるか」を常に意識して進めてほしいと思います。この「できることが限定的」という状況をどう捉えるかで、業績は大きく変わります。

「できることが限定的」というのは「できることの“幅”が小さい」と言い換えることができます。幅とは戦術の種類のことで、例えばイベントや広告宣伝、販促、入替、また接客スタイルや地元とのコラボ企画、景品イベントなどが挙げられますが、総じてすでに行われていたり規制の関係でしづらかったりといった状況です。また今現在自店では行っていなくても、周辺競合がすでに実施していて差別化どころか同質化となってしまうのでできないといったこともあるでしょう。

戦術に幅が持たせられないならば、視点を変えて「“顧客の幅”を見直せないか」と考えてみます。

ここで図をご覧ください。これはロシア生まれでアメリカの経営学者であるイゴール・アンゾフの提唱した成長マトリックスです。この図は本来、「企業の成長の方向性を2軸(製品と市場)で考え、自社の進むべき道を探る」ために使用されます。これを今回のテーマに照らして「製品」を戦術の幅(戦術の種類)と置き換えて考えてみると、現状は「戦術(製品)が既存のものしかない」となるわけで、選べる方向性は①(市場浸透)か③(新市場開拓)になります。

多くのド底辺ホールでは新市場=新規顧客を開拓できるほどの力がないので(新規顧客開拓ができるならド底辺にならない)、必然的に「市場浸透戦略を選ぶべき」となります。市場浸透とは既存の製品を既存の市場に投入することなので、言い換えれば「既存顧客に今の自社をもっと印象づけること、つまり既存顧客へのさらなる満足を追求する戦略こそが、自社の発展の方向性である」となります。それなのに、これまた多くのド底辺ホールでは新規顧客の開拓を目指していろいろな仕掛けをしています。誤った方向性で進むから結果が得られないのです。

「1:5の法則」というものがあります。「新規顧客の獲得には、既存顧客維持の5倍のコストがかかる」というマーケティングの経験則であり、この経験則でもやはりまずは既存顧客維持を考えようとされています。

ここ最近のパチンコ業界は規制強化が進み、できることが本当に限られています。だからこそ、まずは今自店を支持していただけている顧客に目を向けていきましょう。



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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。

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