林秀樹「ド底辺が知るべき二種類のコストの考え方」

2017.05.27 / 連載

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(111) 経費削減

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。

今週末で非常に厳しかった5月も終わり週末から6月となります。とはいっても営業的に何か変わるものではなく、6月は年間で唯一祝日のない月でもありますので、これまで通りド底辺としては「まずは、利益」で未来の原資を確保する営業をしていってほしいと思います。

さて、「利益最優先で」とはいっても売上の低下に苦しむ現状、どうしても粗利益(売上総利益)の上積みは難しいものです。そうなると次にすべきなのは「経費(コスト)の見直しで営業利益を確保する」と考えることです。

経費を削減していけば粗利益(売上総利益)が同じであっても営業利益は増えることになるので、売上に期待ができないド底辺で「利益確保」を図るには有効な手法となり得ます。しかし何でも経費の見直し、カットが良いわけではありません。今回はド底辺ホールにありがちな「経費の見直しに関する間違い」についてお伝えいたします。

パチンコ店の経費では機械代、広告宣伝費、人件費が大きな割合を占めます。このうち機械代については現在の機歴優先販売や、魅力的な商品構成を維持するためにも削減が容易ではありません。また人件費についても適正なサービス水準を維持するためにも削減は適当とは言えない部分です。こういった思考からド底辺の現場では往々にして広告宣伝費(販売促進費も含む)の削減が主となっています。

しかしこれが間違いです。ド底辺だからこそ、ド底辺でアピールできる点が少ないからこそ、ド底辺でアピール力が低いからこそ、広告宣伝に力を入れなければならないのです。

「経費」は2つに分けることができます。一つは利益を生まないコスト、これを「ロスコスト」と言います。逆に売上につながるコストというものもあり、これを「プロフィットコスト」と言います。ロスコストの代表的なものは「ムダ」です。無駄なコピー、電気の消し忘れ、過剰な交際費などがこれにあたり、これらのカットは利益増に貢献します。

一方、プロフィットコストの代表的なものが広告宣伝費です。そもそもお客様に来ていただかなくては、利益は(売上も)生み出せません。お客様に来ていただくために自店の存在を知らしめる手段を削減していては、いつまでたってもド底辺の現状を変えられないです。

「過去に高業績だったのだが現在は厳しい営業となっている」多くのホールに共通しているのは、「自店は長くこの土地で営業しているので、知らない人はいない」という自負を持っていることです。そしてこのように考えて広告宣伝費をカットして、徐々に地元で存在感を失っていき、結局ド底辺になってしまったパターンをいくつも見ています。

「自分のことなんか、だれも知らない」、マーケティングはこう考えることから出発します。そして「誰にも知られていない状況で。どうすれば知ってもらえるか」と考えて行動していくことが必要なのです。

経費の見直しは必要です。しかし、売上につながる=お客様の来店につながるコストは絶対にカットしてはいけないです。いま、広告宣伝に力を入れていないお店は、すぐに戦術の転換をお願いします。広告宣伝にこそ、おカネをかけるべきなのです。


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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。

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