林秀樹「とりあえず変える無戦略はド底辺の入り口です」
2017.09.09 / 連載【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(126) 「ひらめき」と「勘」
皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。9月も2週目となりました。やはりというか、事前に予想したとおりではありますが9月に入っての特に平日の厳しい稼働は、本当に先行きに不安ばかり感じてしまいます。
ここまで何度も「右肩下がりの時は前例打破であり、変化を志向しなければならない」とお伝えしてきました。しかしこの「変化」、なんでも闇雲に変えればいいというものではないです。
あるお店のお話です。このお店も厳しい経営環境に置かれており、「今のままではいけない」ということでいろいろと変化を模索していました。
役職者による店内会議でも様々な「変化」案が出た中で、最終的に出された結論は「遊技機の配置の変更」です。簡単に言えば、
① スペックごとにコース分けしていた配置を、コースにとらわれずにバラバラにする。
② 並べて配置してあった機種を、バラバラに配置する。
③ 4円と1円の場所を変える。
でした。
配置の変更をすることで客動線の変化が生まれ、またお客様の目線での店内雰囲気に変化はつけられるので上手くいくお店もあると思います。しかしこのお店はそうではありませんでした。
上手くいくお店といかないお店、この違いはどこにあるのでしょうか。
何事においても、上手くいくお店というものは「ビジョン、コンセプト、戦略」がしっかりしています。そのビジョンやコンセプト、戦略を実現するための具体的手法として戦術(施策)があるという位置づけで思考を展開できているので、戦術(施策)には必ず論理的な根拠があります。上記の例でいう「配置変更」においても、上手くいくお店の場合は「店舗内施設がこうだから~」、「自店客層の回遊性を考えるとこうだから~」などの根拠を用いて説明ができる施策を実施します。
いっぽう、上手くいかないお店というものはそういった論理的な根拠を持たず、「とりあえず変えてみよう」からスタートしています。つまり「戦略がなく、戦術のみ」で対処しようとするから、上手くいかないのです。上記の例で言えば「今とは違うことをまずはやってみよう」であり、何かの考えがあってのことではないから上手くいかないのです。
「勘」と「ひらめき」いう言葉があります。どちらも現状の延長線上にある考えではなく一足飛びに飛躍した考えが浮かぶことを指していますが、経営、営業というものは直感で決めるものではないです。直感というものは「勘」であり科学的な根拠はありません。しかし「ひらめき」は違います。「ひらめき」はずっと考えてきてパッとひらめくということであり、これまで考えてきた、蓄積してきたことがベースとなっています。考え込んでいないことは、直感(勘)はあってもひらめくことはないのです。
考え抜いてひらめくことと、ただの思いつきには雲泥の差があります。「こうしてみよう」と思い立ったときにその根拠を示すことができるかどうか、それが「勘」と「ひらめき」に違いになります。変化は確かに重要ですが、その根拠を示せる施策を実施してください。
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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。