本当に「現状維持」をするための心構え(林秀樹)
2020.01.10 / 連載【金曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(247) 同じであるためには、変わらなければいけない
皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。2020年となって10日、年末年始営業はまずまずだったお店も6日以降の稼働は非常に厳しい状況となっています。
そういった中、「現状維持ができればいい」と半ばあきらめの境地になっている方も多いかもしれません。
しかし考えてほしいことがあります。「現状維持」をするためには前に進まないといけないはずです。なぜなら時代(時間)は常に進んでいるからです。立ち止まっていたらそれは「置いていかれる=後退している」ことと同じなのです。
あるお店の話です。このお店の店長は今置かれている状況(予算など)から「今は現状維持が精いっぱい」と考えていました。「今は守るべきであり、“動くべき時”が来るまで動かない」と決めて、取り立てて何かをするのではなくじっと耐えてこれまでと同じ営業を粛々と進めたのです。
一方で別のお店では「今を維持するためにできることは何だろうか」と考えて、少ない予算の中でその使い方の配分を変えていきました。具体的には入替予算を少々削って、その分を広告宣伝や日々の出玉配分に充てていきました。
結論から言うと、前者の店舗では少しずつ稼働が落ちていき、後者の店舗はアップダウンがありながらも何とか月間では前月と同じ水準を維持できたのです。なぜこういった差が出たか、というとそれは「変化を志向したかどうか」に違いがありました。
「今と同じことをすれば、それは今と同じ結果(未来)が手に入る」、これはこれまでの連載で私が何度もお伝えしていたことです。しかしこの言葉は、「今と同じことをすれば、今が維持できる」という意味ではないです。
今、自身のお店は右肩上がりでしょうか?もちろんこの連載を読んでいるということは自身のお店は右肩下がりなんだろうと推測できます。つまり、「今と同じことをする限り、今と同じように順調に右肩下がりを続けてしまう」のです。
これまでと同じことをしていれば、ある意味気持ちは安心できます。なぜなら結果(未来)が予測できるからです。
しかしその予測できる結果(未来)は決して芳しいものではないはずです。「現状維持」ということは、満足ではなくとも少なくとも許容はできるレベルの結果がほしいわけですから、下がらないための新たな手を打っていかなくてはいけないです。
「今と同じでいるためには、同じことをするのではなく違うことをする」、このように考えてほしいと思います。
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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。著書に「ジリ貧パチンコホール 復活プロジェクト」(幻冬舎)がある。