月間の利益を先に取るか?後に取るか?(林秀樹)

2020.01.03 / 連載

【金曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(246) 営業計画の作り方を見直そう

 

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。新年あけましておめでとうございます。2020年のスタート、気持ちも新たにいきましょう。

さて、非常に厳しい営業となった2019年の秋~年末、なかなか計画通りの営業ができなかったお店も多かったと思います。そして、現状の年末年始営業はまずまずでも、必ず1月の後半にはかなりの落ち込みを示すもので、今回はそういったときに慌てないで済む営業計画の作成についてお伝えします。

 

現在、一部のお店を除いて大多数のお店が低稼働に苦しんでいます。そういったお店では「これ以上の稼働の低下」は許されないでしょう。しかしそうはいっても現場では常に「利益の確保」が求められます。特に最近はいわゆる「暴発」という表現でいわれるように意図しない出方をする機種が増えており、そうなると往々にして月半ばになっても計画に追いつかない事態も出てきます。

そこで、仕方がないので月末にかけてはシメ一辺倒の営業を続けることになります。これにより何とか月末にそれなりの結果になれば、ホッとして「月も変わったしいつまでもお客様にキツイ営業を強いるのは良くないから、少し緩めなければ」と考えて月初は甘めに営業し、そして月半ばにはまたまた利益計画が追いつかなるという悪循環のサイクルが繰り返されてしまいます。

 

私の支援先にもこういったお店はいくつもありました。月の前半は「稼働回復のため」という考えから「出す」営業をするのです。しかしこれは「稼働を上げるため」ではなく「前月終盤のシメによる落ちた稼働を戻すため」の施策であり、どちらかというと「後ろ向き」の考えによる施策です。これではいつまでたっても上向きのサイクルには進めないです。

遊技客の事情や心理を読んで「出す」「取る」という変化を付けるのはパチンコホール営業の基本なので、「ある時期には出して遊技客を呼ぶ」という判断は間違いではないと思います。ただし月間目標があるため、前半で取れなかった利益分は月の後半で取らねばならなくなります。一応、月間のノルマをクリアできるよう計画を組んでいても、前述のように暴発してしまった日が前半に何日かあると前半の利益が極端に落ち込むことがあり後半の営業では異常に大きな利益を取る必要に迫れ、まったく出せなくなってしまうのです。特に25日以降は計画を達成するために、なりふり構わない営業をせざるを得なくなります。

こういったお店は、

・何とか目標をクリアして月が変わると、遊技客が離れないよう慌てて出す

・月末には目標達成が怪しくなるのでまた無理やりに取る

というサイクルができてしまうのです。

回転数や玉利益の細かな変化を遊技客はそれほど敏感に察知するわけではありませんが、まったく出ない日が続けば、「あのお店は出なくなった」と判断します。そういった印象を変えるために前半に出しても、後半で異常な取り方になってしまっては結局元に戻るどころか、前半に出した分だけ「出し損」です。

 

この「悪いサイクル」を断ち切るためには、「まず必要な利益を取る」、いわゆる「前半主義」の考え方を取り入れるべきです。つまり上記とは全く逆のサイクルで「前半にできるだけ多めの利益を確保しておく」ことが良い循環への道筋となります。

 

「順番が入れ替わっただけで、長い目で見れば同じこと」

こう考える方がいるかもしれませんが、明確に違います。利益に追われるプレッシャーは心理的にも余裕のない営業を強いられますが、計画比プラスという余裕の営業では後半に「出すもよし、計画どおりもよし、あえて取って別の機会の原資とするもよし」と戦術の幅がグンと広がります。

 

 

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。著書に「ジリ貧パチンコホール 復活プロジェクト」(幻冬舎)がある。

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