外部要因で稼働が落ち込むのは本当に「仕方のないこと」なのか?(林秀樹)

2019.09.27 / 連載

【金曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(232) 良くないときこそ、内向きに考える

 

 

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。

9月は17日以降の営業で非常に微しい稼働状況となっています。そして例年、このあとの10月から12月前半までの約2カ月間は、1年で最も稼働が落ち込む時期です。入替をしても出玉率を上げても稼働が低下していくこの傾向については、商圏内の稼働、また全国データなどを見ても同じ傾向を示し、「仕方のないこと」と感じる方も多いと思います。

しかし本当に同じか、というとそうではない場合もあります。

 

良いことにしろ悪いことにしろ、業績に影響を与えるものには、

・内部要因

・外部要因

の2つがあります。

内部要因とは、自分自身に原因があることで、これは商圏内の競合やその他の地域などの外部には影響を与えません。自分自身にのみ影響を与えます。

一方の外部要因とは、経済環境や自然現象など、自分自身ではコントロールができないものであり、これは商圏のみならず等しく同じ影響を受ける要因となります。

そして今、この秋という時期の影響は等しく全員にかかるものなので、この時期の稼働低下はほとんどがこの外部要因の影響を受けていると考えられます。

しかしすべてが外部要因か、というとそうではありません。その見極めをするためにも「変化の分析」をする必要があります。

 

変化には絶対的な見方と相対的な見方があります。

・絶対変化・・・絶対的な指標を基にする。例えば「テストの60点以上は何人でも合格とする」など。

・相対変化・・・他者と比較する。例えば「全体の上位20%は何点でも合格とする」など。

今回のように総じて下落傾向という中で考える場合、「他者との相対的な変化」を見る必要があります。

自店および競合について前年同月、前月度比較での「低下の比率」を、

・低下率は同じなのか、違うのか

・どの部門が違うのか

と確認します。

これによって、もしも自店の方の低下率が大きいのであればそれは外部要因だけでなく内部要因による落ち方があると考えられます(逆に考えると競合店は、その競合店の内部要因で低下に少々の歯止めがかけられている、とも言えます)。これらの分析は専門的な知識は必要なく、すぐにできることです。

 

一般的に、

・外部要因による変化 → 急激な変化、体感できる変化

・内部要因による変化 → 緩やかな変化、体感しにくい変化

とされています。外部的な刺激ははっきりと認識できるのに対して、内部的な変化はゆっくりとしてわかりにくく、気づいた時には手遅れとなる場合が多いものです。

「この時期は毎年のこと、他店も同じ」

と考えていると、とんでもない落とし穴にはまります。

 

いまこの状況(稼働低下)の要因において内部的なことを発見するために、しっかりと分析し、他店と何が違うかを再度認識してほしいと思います。

 

 

 

 

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。著書に「ジリ貧パチンコホール 復活プロジェクト」(幻冬舎)がある。

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