勘と経験則ではなく「数字」を根拠にする習慣づけ(林秀樹)

2020.01.24 / 連載

【金曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(249) 数字を眺めるのではなく、加工して分析を

 

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。相変わらず厳しい稼働が続く1月下旬、今は稼働の上昇を狙うのはかなり難しい時期です。今すべきなのは「次のために考えること」でしょう。

今回は「考える」ということをテーマにお伝えしようと思います。

 

「3大経営資源」、ご存知の方も多いと思いますが一応説明すると「ヒト、モノ、カネ」です。これが「4大経営資源」となるとこれらに加えて「情報」が入り、「5大経営資源」というとさらに「時間」が加わります。

さて、現在のパチンコ店には(私の知る限り)ほぼ100%、ホールコンピュータ(以下、HC)が導入されています。このHCには遊技機の状態、出玉、稼働、売上利益等、営業に関する全てのデータが蓄積されており、欲しいデータはすぐに表示されます。上記4大経営資源のひとつ「情報」についてはその取得に関してどのお店も差がありません。

しかし、情報は取得することが目的ではなく、業績アップという目的に寄与させる手段のはずです。それなのにこの情報という経営資源を有効に活用できていないホールが多いと感じます。日々の結果だけに注目し、データを見るだけで分析することがなく、せっかくの情報を活かすことなくこれまでの経験則に頼った営業を続けているのです。これでは強豪店との差は広がる一方で、いつまで経っても現状を変えることはできないです。

 

HCに蓄積されたデータを営業に活かすためには「データの加工」が欠かせません。言い換えれば、数字の羅列を「使える形」にして読み解く(データ分析をする)ことで、初めて営業戦略を立てることができるのです。

データ分析ができるようになれば、店舗の強みを活かして効率的に集客する方法や、地域での競争に勝ち抜く方法がわかるようになります。大手のパチンコホールは膨大なデータから「分析に基づく戦略策定」を行って順調な営業を続けているのです。

 

データを正しく扱うためには、「取得」と「分析」、それに「活用」というデータの3つの段階を意識する必要があります。

① 取得……どんなデータをどれだけたくさん取ってくるか

② 分析……取ってきたデータをどう扱って解釈するか

③ 活用……分析したデータを実際にどうやって行動に反映させるか

多くのお店は「①取得」で満足してしまっている傾向があります。数字を眺めて満足してしまうのです。ここで「②分析」に意識を向けるには取得した数字の加工が欠かせません。「加工」といっても難しいことは必要なく、まずしてほしいことは集められた数字をグラフ化することです。それだけでも長期的な変化を視覚的に捉えることができるので分析に役立ちます。

続いて「③活用」です。ここでも多くは、せっかく集めた数字で判断することなく、目の前の結果に右往左往する傾向があります。結果には必ず原因があり(因果の法則)必ず数字の変化として表れるのですから、グラフから解釈した仮定を基にした論理的な行動が必要です。例えば「売上が落ちた」という結果に対して条件反射のように「出す、入替をする」というのは場当たり的で根拠も何もありません。HCの情報から、

・玉単価はどうなのか?(どう変化していたか)

・玉粗利はどうなのか?(どう変化していたか)

・客滞率は?

・商品売上比率(機種別売上比率)の変化は?

などなどいろいろな側面のデータが取得できるのですから、様々な検証と分析ができるはずです。またHCだけでなく他店調査の結果を長期的にグラフ化してみてみることで、外部環境の変化も読み取れます。

経営判断は何事も必ず根拠が必要です。その根拠も自身の勘と経験則ではなく「数字」を基にしてください。

 

 

 

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。著書に「ジリ貧パチンコホール 復活プロジェクト」(幻冬舎)がある。

林秀樹, ド底辺ホール復活プロジェクト