他社との違いを出すには「内部要因の変化」が必要

2018.12.29 / 連載

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(194) 3つの知力

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。あっという間に2018年もあと2日となりました。今年は1月末での遊技機撤去から始まり、夏~秋には遊技くぎやイベントの指摘指導など、業界全体が非常に厳しい環境に置かれた一年でした。そういった中で、唯一といっていい明るい(明るそうな)話題として新基準機の市場投入もありました。ただし結果は、一部を除いて新基準機のゲーム性などはまだまだ市場に受け入れられているとは言い難いのが現状です。

このような状況はいわゆる「外部要因」なので、業界全体に等しく降りかかっている問題です。外部要因は個々の努力で解決できることではないのでこれら外部要因について嘆いていても状況はまったく解決しません。今すべきことは「内部要因」の改善、つまり自分たちの努力で変えられることに注力することです。

さて「内部要因の改善」としてまず取り組めるのは、「自分自身の行動の改善」となります。ここで私は常に「学ぶこと」を第一に挙げているのですが、最近はこのことをとても重要なこととする認識が非常に高く、いろいろな研修を受講したりビジネス書を多く読まれたりする方が増えています。ただ、いろいろな新しい考え(や、過去から言われているビジネスのセオリー、戦略)を知っても、それを生かせていない方も多いと感じます。

「知力」には3つの要素、段階があります。第一は「インプット」であり、さまざまな知識を吸収する段階です。もちろん、何事においても知らないよりは知っている方が判断、決断の場面で引き出しが増えることになるので、このインプット知力はとても重要です。

ただし知識をそのまま受け入れるのではなく、新しく知った知識を自分なりに考えて咀嚼することも必要です。これが第2段階の「プロセス」で、得られた知識を自分が置かれた現実に照らし合わせて因果関係を考える、知識を組み合わせる、自分なりの解釈を加える、などです。

多くの方は第一段階(インプット)で満足してしまい、咀嚼、思考という段階(プロセス)に行きつかず、せっかくの知識が知識のままで終わっている点がもったいないと思います。この点の改善が「内部要因の改善」につながります。

さて、知力にはもう一段階あります。その第3段階とは「アウトプット」です。この段階では、インプットされた知識を自分なりに昇華させて、それを現場の実践に活用する段階です。またそれともう一つ、「他者に伝える」という段階でもあります。

インプットされた知識を自分だけのものにするのではなく他者と共有することで相乗効果が生まれ、それが業績向上につながるのです。「他者に伝える、共有する」ためには自分自身に深い理解を必要とするので、知識の深堀となってさらなる理解ができる効果もあります。これからの自分自身の改善は「プロセス」と「アウトプット」を意識してください。

業界を取り巻く外部環境は厳しいものですが、内部要因、その中でもまずは自分自身に目を向けて改善、向上を目指すことで、現状は必ず変わります。繰り返しですが外部環境は変えられない且つ他社も同じ条件です。他社と違いを出せるのは「内部要因の変化」です。


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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。著書に「ジリ貧パチンコホール 復活プロジェクト」(幻冬舎)がある。

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