今まで以上に「低貸玉営業」に力を入れる必要がある理由

2019.04.20 / 連載

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(210) 低貸玉営業のこれから

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。先週は偶数月の15日、年金の支給がありました。これまで年金が支給されようと全体に与える影響はそれほどでもなかったのですが、今回はその前週までと比較して明確に稼働が上昇しました。収入が入ればパチンコで遊ぶことを選択肢の上位に挙げていただけることは喜ばしいと思います。

しかし逆に考えると、「お金がないとパチンコに行けない」時代になっていると感じます。昔は「お金がないからパチンコでも」だったはずでしたが、このことはお客様のパチンコ対する考えも変わってきている証左なのだと思います。

年金など、収入が入るとパチンコに行こうと思われる方は、どちらかというと「パチンコが好き」な層です。そういった客層を大事にすることが稼働を維持し、また長期的な利益につながります。そしてこういった客層が主に遊技するのは低貸玉パチンコとなります。

低貸玉を遊技する客層に対しては以下のような属性があると(これまでの業界の常識では)考えられてきました。
・遊ぶことを志向している客層
・勝負ではなく、時間消費を志向する客層
・遊技機種にこだわりは少ない客層
・パチンコに本来求めるもの(勝負、適度な射幸性)を求めない、少数派の客層

たしかに、過去の低貸玉営業については上記の考えの下での営業で良かったと思います。これにより「お店の求めるもの=稼働および客数、お客様の求めるもの=少額での時間消費」が高利益率の営業でも両立できました。

しかし最近、その傾向が崩れています。サン電子㈱が提供するTRYSEMデータによると、パチンコ遊技における貸玉4円以上の比率は48.6%(4円40.7%、4円超7.9%)であり、低貸玉営業が台数も客数も逆転しています。(4/16現在。ただし、スロットにおいては20円32.6%、20円超45.0%であり、まだまだ20円営業がメインとなっています)

こうなると「低貸玉遊技客は少数派」ではなく主流の客層といえ、彼らをいかに大事にするかを考えることが重要なはずです。しかしほとんどの店舗は入替もイベントも、配置も機種構成も遊技機メンテナンスも、また担当責任者の役職も含むすべてにおいていまだに4円パチンコを主流とする営業をしており、これはマーケティングで言うところの「プロダクトアウト」の典型例といえます。経営、営業というものは「マーケットイン」、すなわちお客様が求める商品やサービスの提供をすることが必要なはずなのに、です。

「スロットは入替やイベントへの反応が高く稼働などの結果がすぐに得られるが、パチンコはなかなか反応が薄く効果が低い」、このように考えてスロット中心の施策を繰り返してきました。

しかしそれはもう少し深く掘り下げて考えると、「響かない部分=4円パチンコにばかり投資を繰り返すから、効果が得らえれない」のではないかと思います。今、パチンコが「好き」な層は、上記データのように低貸玉での遊技の方が多くなっているのですから、これからは今まで以上に、低貸玉にこそ施策や力を向けるべきではないかと思います。

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。著書に「ジリ貧パチンコホール 復活プロジェクト」(幻冬舎)がある。

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