人事異動後、なぜか業績が上がり続ける店舗と一時的な店舗の違い(林秀樹)

2019.10.04 / 連載

【金曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(233) 持続する力の源

 

 

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。10月、下半期のスタートです。9月はパチンコ、スロットとも話題機種の納品があり、また2回の3連休があったにも関わらず休日の稼働の伸びがあまり感じられず、さらに平日は過去最低レベルの稼働を示したことで、全体的に非常に厳しい結果の地域が多かったようです。そして稼働に手応えがないとなると、営業にはどうしても閉塞感が漂ってしまいます。

このような閉塞感を感じた時には何かを変えないと今とは違う結果は得られないです。そしてこうしたときには人事異動という手法をとる会社も多くあります。皆さんも経験があると思いますが、人事異動をすると「なぜか」業績が上がる傾向が多いものです。

ところがこの業績アップ、一時的なお店と維持できるお店に分かれます。そして大多数は「一時的なアップ」にとどまってしまいます。私の支援先でも最近(といっても夏ですが)、人事異動があり2店舗で店長の交代がありました。どちらもやはり交代した途端に業績が良くなっていったのですが、一方がすぐに元に戻ったのに対しもう一方のお店は今も上がった業績を維持できています。

 

同じグループ内でこのように違いが出た要因はもちろんいろいろあると思いますが、最も大きな違いは、

・継続する力

にあったと思います。人は新しいところに来るといろいろなことで緊張感が生まれます。もちろん仕事においても同じで、それこそ「前任者よりも業績を落とすわけにはいかない!」とばかりに細かいことも真剣に考えるでしょう。

ところが月をまたいで一通りの業務に慣れるとだいたいの人は気持ちに緩みが出てきます。例えば報告が遅れる、細かい指摘をしなくなる、空き時間の使い方が雑になる、などです。こういった「気の緩み」は如実に業績に現れるのです。

 

「テンション」と「モチベーション」、どちらも「やる気」というニュアンスで使われることが多く、両者は同じような意味に感じますが、明確に違いがあります。

・テンション→高揚した気持ちからくるやる気、一時的、動的

・モチベーション→心の奥底からくるやる気、持続的、静的

一時的に業績が上がるのは「なんとかしてやろう!」という気持ちが行動に現れるからです。しかしその「気持ち」はあまり長続きしません。これはテンションからくるやる気だからです。その上がった気持ちを維持するには、自分の心に今の仕事に対する意義や目的を落とし込む必要があります。

「初心忘れるべからず」

といいますが、まさにこの言葉通り初心を常に持つことが「モチベーション」となります。そして初心の気持ちのままでいられた人が業績の維持(または継続的な向上)をできるのです。

 

人事異動など必要なく、今勤めている自分のお店でも同じです。「自分が初めて店長になったとき、役職が昇格したとき」の気持ちを思い出して、静かに情熱を持ち続けるように意識して日々の業務にあたってください。経営資本は、やはり「ヒト」です。

 

 

 

 

 

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。著書に「ジリ貧パチンコホール 復活プロジェクト」(幻冬舎)がある。

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