ド底辺ホールの安易な低貸玉化がオススメできないワケ

2018.08.25 / 連載

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(176) 低貸玉は「活路」にはならない

皆さんこんにちは、アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。暑かった8月も今週で終わり、これから秋~冬と毎年厳しい稼働になることが予想される季節に入ります。そういった状況ではつい目の前の稼働が欲しくなり、「より低価」の貸玉営業を導入または増台する施策を考えてしまうものです。

しかし低貸玉初期ならいざ知らず、成熟した市場となった現在ではこのような施策は思うような効果は得られません。これはマーケティングの基本、セオリーで考えれば至極当然のことなのです。

マーケティングのセオリーに「PLC(プロダクトライフサイクル)理論)」というものがあります。これは、製品にも人間と同じような一生(寿命)があり、その置かれた状況によってすべきことや求められることが違うということを表したものです。PLCは以下の4つに分類できます。

1.導入期
市場の認知度が低く、流行に敏感な層だけが顧客となる。この時期の顧客は「早く手に入る」ことが喜びなので、高利益率でも購入してくれる。

2.成長期
市場の認知度が飛躍的に高まるときであり、新規参入が続出する。この時期は独自性と差別化が進展し、「違い」を出すことで高利益も可能になる。

3.成熟期
市場が飽和状態になる。差別化は難しくコモディティ化が進行し、「違い」ではなく価格での勝負となる。

4.衰退期
市場に飽きられる。撤退が視野に入る。

いま、低貸玉市場というのは「3.成熟期」に入っていると思われます。その証拠として高価交換化が進行し低利益率の営業での勝負となっています。成熟期では高い利益は求めにくく、この段階は「いかにこの成熟した状況を長持ちさせるか」を考えるべきで、決して「攻め」を志向する段階ではありません。

今の低貸玉は、「軸、伸ばすべきもの」というよりも「維持」を考えるべきものです。低貸玉を増台しても業績の向上ではなくむしろ収益性の悪化を招いてしまう恐れが高いので、ド底辺ホールは安易に低貸玉の増台に手を出さないようにしてください。


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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。著書に「ジリ貧パチンコホール 復活プロジェクト」(幻冬舎)がある。

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