ある意味「楽」な業界でした。今までは(林秀樹)

2020.01.31 / 連載

【金曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(250) 行動には論理的な根拠が必要

 

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。この連載もおかげ様で250回を迎えることが出来ました。本当にありがとうございます。このまま300回、400回、500回と続けていく気持ちでいますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 

さて1月度最終日、例年通り厳しい稼働の営業が続いています。そういった中で大手ホールは豊富な資金力を武器に利益率の極端な切り下げや大型版権機種の大量投入など、中小ホールには真似のできない策を次々と打ち出してその差を広げようとしています。そのため、今後さらに厳しい時代が続くと予想されている中、「資金力がないホールは淘汰され消えていくしかない」と悲観的に考える店長は少なくないです。

しかしそういった考えになるのは、過去の成功体験に囚われているからだ、といえます。

パチンコ業界は過去、新台入替を大きな戦術の柱にしてきました。そしてこれにイベントが加わり「集客の2大戦術」となっていました。大手であっても中小であってもこの「戦術」は全く同じで通用していたのです。ある意味「楽」な業界でした。

しかし現在は新台入替にはほとんど効果が期待できなく、イベントに至っては規制強化もあり開催すらできなくなっています。まず考えるべきは、旧来の考え=入替とイベントに頼ることからの脱却です。

 

入替とイベントに頼らずに何に頼るか。それは「戦略」です。

・「ポジショニング戦略」から、自店の立ち位置を把握する。

・「SWOT分析」から、適切な時期を選んで強みを生かす。

・「ランチェスター戦略」から、弱者の戦術を突き通す。

・「差別化戦略」から強みをプッシュする。

・「マーケティング戦略」から、売りたいものと売れるものを選別する。

などの戦略、つまり考え方を頼りに、論理的に物事を進めていくのです。

「カネがないなら、アタマを使え」といいますが、上記のような「考え方」をベースにすることにお金はかかりません。かかってもせいぜい、参考にするために購入する書籍代くらいでしょう。

 

勘と経験則、および過去の成功体験をベースにすると論理的な根拠がないため、結果が出なかったときに右往左往してブレブレの営業になってしまいますが、戦略をベースにすると軸が定まり、ブレることが無くなります。

例え年末年始Wなど休日が続く期間の営業で「出す」のか「取る」のかという方向性を考えるとします。

・年末前に稼働が落ちてきたからアケよう

・年末年始は稼働が見込める時期だからこそ今後の集客のためにアケよう

という方向性もありますし逆に、

・この時期にしっかりと取るべき

という考え方もあり、どちらも一理があります。

ここで勘や経験則、場当たり的な対応ではなく戦略をベースにするのです。ポジションはチャレンジャーなのかフォロワーなのか、機会なのか脅威なのか、もっといい機会が先にあるのかないのか、強みはどこにあるのか、顧客のニーズが高いものは何か、それは自店にもあるのかないのか、仕掛けの時期はいつが適切か、などなどいろいろな面で検討して最適な戦術を選びます。

 

行動には必ず理論的な根拠を求めて、論理的に進めることが必要です。これからは確実に業界のパイが縮まります。今までのように「勘と経験則」、「過去の成功体験」のみの営業は必ず行き詰まります。これから必要なのは「データに基づいた分析と行動」、「論理的な思考と行動」です。

 

 

 

 

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。著書に「ジリ貧パチンコホール 復活プロジェクト」(幻冬舎)がある。

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