〝入れっぱなし導入〟に喝!「ヒトは大手に追いつける部分」(林秀樹)

2020.01.17 / 連載

【金曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(248) 提供する“商品”の品質

 

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。年末年始期間が過ぎて1月の3週目、非常に厳しい稼働となっています。そして例年、その落ち込みの対策として大型の入替を行うものなのですが、今年は目玉になるような機種がないことであまり盛り上がっていないように感じます。そうなるとお店の遊技機担当者の気持ちも張りがなくなってしまうようで、遊技機メンテナンスもつい流れ作業、もしくはほとんど何もしないというような傾向があります。

 

一応の新台入替はするものの、その新台にわくわくするようなインパクトもなく、新台入替ももはやひとつの「作業」のようなもの、特別なことではなくなっています。これにより日々のメンテナンスだけでなく新台導入時にさえ、しっかりとお客様を迎えるような形に整備されていないことも多いです。例えば一般の小売店では、商品を仕入れて店頭に並べるときには顧客が選びやすく見栄え良く、と考えるはずです。

ところがパチンコ店ではどうか、というと前述のように遊技機のメンテナンスをしっかりとしないで顧客に提供するようなことが往々にして見受けられます。そしてこの傾向、特に低稼働店舗に多く見られます。大手や強豪店と違い中古機がメインになるので、どうしても「大切にしよう」という意識が薄いことも原因だと思います。

 

上記のような意識から新台のメンテナンスは特に何もしないで、入替初日終了後のデータを見てからメンテナンスをするというお店もあります。これでは「お客様に試供品を提供している」ようなものです。しかし店長にはそういった意識はないでしょう。

・今の機種は確率で出る、出ないが決まるので細かいメンテナンスはあまり意味がない

として、「遊技機の使い方よりも販促や広告宣伝の方が重要」と考えているからかもしれません。

ある面ではそういったこともあると思います。確かに今の機種は昔に比べて役物が大きくなり盤面の構成もシンプルになっています。またメーカーの製造も昔よりも精度が高くなったので極端におかしな盤面構成ということもなくなりました。しかし、それでも細かい部分でズレがあったりしますし、何より「最高の品質のモノをお客様に提供しなければならない」という「商品に対する意識」が欠けています。

 

遊技機のメンテナンスがいいからといって稼働は上がらないかもしれません。しかし遊技機のメンテナンスが悪いことで稼働を落とすことはあります。そしてこれは「内部要因による変化」なので徐々にゆっくりと影響を及ぼし、気が付いた時には取り返しのつかない事態を招きます。

遊技機のメンテナンスというものは、単にホールコンピュータのスタート回転数やベース、出玉といった数値の適正化といったことだけではなく、玉の動き方や跳ね方といった体感的な「遊び」としての盤面構成にする整備も含まれます。むしろ「お客様へ最高の品質の遊びを提供」と考えた場合は、後者のようなことをしっかりと整備することがメンテナンスといえます。

 

大手や強豪店はしっかりと遊技機のメンテナンスをしています。適当な遊技機メンテナンスでは勝負のスタートラインにすら立てていないと考えてほしいと思います。機種構成や販管費、広告宣伝費などの資金面、また設備面などでは大手や強豪店に及ばないかもしれませんが、遊技機メンテナンスは担当者の「マンパワー」です。企業の経営資源の中で最も重要な「ヒト」については大手や強豪店に追いつける部分ですから、簡単に考えて疎かにしてほしくないと思います。

 

 

 

 

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。著書に「ジリ貧パチンコホール 復活プロジェクト」(幻冬舎)がある。

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