【金曜】藤崎敏郎「火の用心だけでは火事は起きる」

2015.10.02 / 連載

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部下指導は仕事だけでなく、私生活においても必要なケースがあります。例えば、飲酒運転の禁止です。飲酒運転を指導しても良い根拠は、会社の規程(例えば就業規則)に書いてあるからです。飲酒運転をすると、懲戒処分をする会社が多いです。解雇とする会社もあります。だから、上司の重要な指導事項になります。ところが、どんなに飲酒運転の禁止を伝えても、毎年のように飲酒運転をする社員がいる会社はあるかもしれません。これは、「火の用心」の例えが分かりやすいです。

―火の用心の話ー

社長も、部長も、店長も、そして、店舗の役職者も全員が「火の用心」を伝えています。朝礼でも、「火の用心」をみんなで唱和しています。一生懸命に火事を防ごうと毎日声を上げて誓っています。でも、火事は起こってしまいました。「なんでだろう。こんなに一生懸命にがんばっているのに」

それは、火の用心という掛け声だけで、誰も具体的な対応を指導していないことが原因なのです。飲酒運転でも同様のことをしていませんか。社長が酔っ払い運転は禁止と言う、取締役も部長もその他の管理職も飲酒運転禁止だと言う。それでも酔っ払い運転は起きてしまっている。「こんなに一生懸命酔っ払い運転は禁止を指導しているのにどうしてなんだ」と嘆いていませんか。そう、誰も具体的な対応を教えていなかったことが原因なのです。

まず、現状を知ることが大切です。「飲酒運転の現状は、どんな感じですか」と社員に質問してみましょう。「毎朝、飲酒運転はしないことを唱和しているので、会社の中で飲酒運転をする人はいないと思います」「会社の行事では、飲酒運転をする人はいないと思います」「プライベートまでは分かりません」「見つからなければいいと思っている人がいます」「飲んでも酔いを覚まして帰ればいいと思っています」たくさんの意見を否定しないでどんどん聞いていきましょう。飲酒運転の事実に向き合っていきましょう。

すると、会社の中で飲酒運転をして解雇になった人がいるという事実を全社員に伝えていなかったんだ、ということが分かることがあります。また、社員は飲酒運転しても見つからなければいいと軽く考えていたことも分かります。「一杯でもお酒を飲んで運転をしたら、会社は厳しい措置を取る。懲戒解雇にするとしっかりと伝えていなかったこと。そして、部下の飲酒運転を見て何の対応をしなかった上司や同僚も、同様の処分を受けることも伝えておくべきだ」と気づきます。例えば、上司は部下と一緒に飲んだら、車を運転して帰る部下には、「酔いを醒ましてから帰れ」ではなく「代行で帰れ」と指示すべきです。朝まで車で仮眠を取って、酔いを醒まして運転して自宅に帰る途中で、飲酒運転で警察に捕まったケースもあります。このケースでも懲戒処分の対象になります。さらに、上司の指導責任を問う会社もあるのです。

今回の格言は、「飲酒運転禁止を言うのではなく、飲んだら代行で帰れと言う!」

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株式会社パートナーズリンク社長 藤崎敏郎

元セブン&アイグループの本社スタッフ。その後パチンコチェーン店に入社。機械担当部長、営業部長として勤務する。その後、人事コンサルタントとし て独立。社員研修と人事コンサルティングで日本各地を飛び回っている。これまでに教えた受講者は10万人以上。業界誌にも複数連載し、ナンバー1社員研修 講師と言われている。取得資格:キャリアコンサルタント、販売士1級、社労士、米国NLPマスタープラクショナルコース終了、トレーナーコーチ、メンタル ヘルスマネジメント2級、宝地図ナビゲーター、レイキティーチャー、エネルギーマスターなど

http://p-link.co.jp/index.html(ホームページには各誌の書いた原稿を掲載中)

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