【金曜】藤崎敏郎「効果のない無駄な言葉」

2015.05.08 / 連載

※日曜日から金曜日に移動しました!

藤崎敏郎の人材育成セミナー

上司が部下を叱る時に、よく出てくるのが「やる気あるのか!」という言葉です。これほどムダな言葉はありません。むしろ弊害が多いです。なぜかというと、ほとんどの人はやる気はあるし、がんばっていると自分では思っています。そもそも、元からやる気のない人はいません。そんな人は会社に入って来ないからです。入社してくるのは働こうという「やる気」がある人たちです。ただ、入社後に、「やる気」をなくすことはあります。それが、例えば、この「やる気あるのか!」と上司から言われることなのです。この言葉を部下に言うと、ほぼ100%「やる気」をなくします。「この上司、何も私の仕事を見てくれていない、、、」と、悲しい気持ちになる部下もいるでしょう。そして、「こんな会社辞めてやる!」と、決意する部下もいるはずです。

何が問題かというと、叱る時の言葉の使い方です。「やる気」という目に見えないものを対象にして叱られても、部下は何のことだかイメージできないのです。できたとしても上司と違うイメージを持っています。例えば、上司が指示命令をしたときに、「ハイ」と大きな声で返事をすることが“やる気”だというイメージを持っていたとします。この時に、部下は指示命令を確実に実行することが“やる気”だとイメージしていると、仕事のやるべきことを考えているので「ハイ」の返事が小さくなるのです。すると、上司は部下に対して“やる気”がないと思ってしまうのです。

イメージできないことは行動できないので、この叱り方では何も変わりません。どういう叱り方がいいかというと、具体的な行動改善を示して叱るのです。例えば、「あいさつのハイの声が小さいので、二倍の声であいさつをしよう。すると、やる気が相手に伝わるから!」、「約束の時間の5分前には来るようにしよう。ギリギリだと、やる気がないと相手に感じさせるから」などのように、具体的な行動を改善させる叱り方をするのです。ちょっとした言葉の使い方ですが、このようなことを分からないで部下指導をしても効果がありません。最悪のケースでは、部下が辞めていくでしょう。それを経営者が問うと、その上司はこう答えるでしょう。「あいつは、やる気がそもそもなかったんですよ。やる気をもっと出さないとだめだと何度も叱ったんですが」こう聞くと、何も知らない経営者は、「そうか。やる気がない奴はだめだな」ということになります。そして、その会社では、いつまでも人手不足は続くことになります。知らないことって恐ろしいですね。

今回の格言は、

「やる気あるのかと叱らないこと(効果なし)!!」

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株式会社パートナーズリンク社長 藤崎敏郎

元セブン&アイグループの本社スタッフ。その後パチンコチェーン店に入社。機械担当部長、営業部長として勤務する。その後、人事コンサルタントとし て独立。社員研修と人事コンサルティングで日本各地を飛び回っている。これまでに教えた受講者は10万人以上。業界誌にも複数連載し、ナンバー1社員研修 講師と言われている。取得資格:キャリアコンサルタント、販売士1級、社労士、米国NLPマスタープラクショナルコース終了、トレーナーコーチ、メンタル ヘルスマネジメント2級、宝地図ナビゲーター、レイキティーチャー、エネルギーマスターなど

http://p-link.co.jp/index.html(ホームページには各誌の書いた原稿を掲載中)

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