【金曜】藤崎敏郎「上司や社長は万能ではない!」

2015.11.06 / 連載

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※日曜日から金曜日に移動しました!

藤崎敏郎の人材育成セミナー

人材育成は上司から部下にするだけでなく、部下が上司の能力を育成することもあります。優秀な部下がいることで、上司も自分の能力が高まるのです。ちょっとした気づきや自分の能力を磨くきっかけが部下の言動だったりします。

そして、例えば、社長の能力も部下が高めることができるのです。まず、社長は最高の権限者ですが、どの分野でも一番能力があるという勘違いをしてはいけません。社長も人間ですし、まず、経営者になると自分の専門能力を高める時間が取れなくなります。一番の弊害は、お取引のお世辞やおべっかで、正しい判断ができなくなるケースもあることです。

その結果として、間違った判断による命令が部下になされるケースがあります。社長は、それがうまくいくと判断しているので、成功すると思っています。命令を受けた部下が成功すると思うなら行動すべきです。ただ、あきらかに間違っていて失敗すると思うのだったら、社長を守るためにやってはいけません。社長を守るためです。社長は自分の命令したことはやって欲しいと思っています。これは正しくは、自分の命令したことは成功するようにやって欲しいと思っています。失敗するようにはやって欲しくないのです。だから、どう考えても失敗するのでしたら、やってはいけないのです。それは、命令を受けた部下の能力不足かもしれませんが、そもそも社長の判断が間違っているケースもあるのです。社長に対して、「社長の命令のとおりやりましたが、失敗でした」と言うと、まず、100%こう言われるでしょう。「どうして私の言ったとおりにやったんだ。失敗するなら、私の言うとおりにやったらダメじゃないか。失敗しないように工夫するのが幹部社員の役割でしょう!」

この社長の心理が分からない幹部社員が多くなると会社が傾いていきます。社長の言うことが絶対となり、誰も意見をしなくなり、幹部社員が自分の頭で考えなくなるからです。

社長を助けるために、失敗すると分かっているなら言われたことをやってはいけません。ただ、その判断をする能力を高めるためには、幅広い勉強をしなければなりません。読書は毎月10冊以上、外部セミナーに月一回以上出席して外部情報を収集する努力も必要です。そんな人が会社には欠かせないのです。

ところで、江戸時代の殿様というのは絶対権力者と思われていますが、「押し込め」といって、能力不足や素行不良などで「お家」のためにならないと、家臣団(家老クラスの数人)が考えた場合には、殿様を屋敷牢などに「押し込め」て、世代交代を迫ったこともあったそうです。これは、家臣団にとっては、お家を守るための命がけの行動です。会社を守るためには、社長に対しても自分のクビを賭けた行動をしなければならない時もあるかもしれません。

今回の格言は「社長を守るために、社長の命令どおりの行動をしてはいけないこともある」

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株式会社パートナーズリンク社長 藤崎敏郎

元セブン&アイグループの本社スタッフ。その後パチンコチェーン店に入社。機械担当部長、営業部長として勤務する。その後、人事コンサルタントとし て独立。社員研修と人事コンサルティングで日本各地を飛び回っている。これまでに教えた受講者は10万人以上。業界誌にも複数連載し、ナンバー1社員研修 講師と言われている。取得資格:キャリアコンサルタント、販売士1級、社労士、米国NLPマスタープラクショナルコース修了、トレーナーコーチ、メンタル ヘルスマネジメント2級、宝地図ナビゲーター、レイキティーチャー、エネルギーマスターなど

http://p-link.co.jp/index.html(ホームページには各誌の書いた原稿を掲載中)

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