【金曜】藤崎敏郎「ポジティブ思考の絶望的欠点」

2015.04.10 / 連載

※日曜日から金曜日に移動しました!

藤崎敏郎の人材育成セミナー

第39回「ネガティブ思考も認めて尊重すること!! 」

ポジティブ思考の人とネガティブ思考の人がいると、一方的にポジティブ思考が良くて、ネガティブ思考の人はダメだと言われるケースが多いのですが、果たしてそうでしょうか。というのは、ポジティブ思考の人は、何も考えていなくて何の行動もしなくて、何とかなるとと思っているケースがあるからです。例えば、業界全体の客数減少傾向は明らかなのに、何も考えていないで何も行動しなくて何とかなると思っているポジティブな人に出会うことが多いのです。

10年ほど前の話しをします。ある会社の取締役でしたが、とても明るくて元気でした。仕事も一生懸命で、ゴルフや夜の遊びも絶好調だったという噂を聞いていました。何度か話をしたことがありますが、ポジティブ思考そのものの人でした。ただ、未来に対しての不安要素を解決する勉強をしていませんでした。会社の人事制度構築、コンプライアンス、規程整備、教育研修制度などの不安要素そのものを改善するための努力をしていませんでした。いや、むしろ、不安要素に気づく能力がなかったのかもしれません。ネガティブ思考がなかったからと言ってもいいかもしれません。その取締役の会社は倒産しました。

ネガティブ思考の人は、心配してどうしたらいいか考える癖があります。不安要素を探す能力が素晴らしいのです。「人口減少で相対的に客数が減少すると、店舗がつぶれるかもしれない。じゃあ、そうならないようにどうしたらいいんだ。自分自身の仕事もなくなるかもしれない。じゃあ、どうしたらいいんだ」と、考えることができます。このような人がいると、例えば、グランドオープンの時は心強いです。開店するまでの準備期間に、こと細かく不安要素を抜き出してくれるので、これを解決すれば素晴らしいグランドオープンができるのです。ポジティブ思考の人だけが集まると、何とかなると思っているので、抜けやモレがあるのです。そして、それがお客様とのトラブルになるケースもあります。ただ、トラブルがあったとしても、何とかこなしてしまうのがポジティブ思考の人なのですが、誰もができる対応ではないので、ポジティブ思考の人たちがいないと解決しないことがほとんどです。ネガティブ思考の人は、トラブルが発生したら仕組化をして、誰もができるようにしなければならないと思っています。例えば、ネガティブ思考の人は、機械の設置となったら、何度でも試験打ちをし、玉の補給設備等のテストランを何度でも繰り返します。不安でしょうがないので、アルバイトさんのトレーニングも丁寧に実施します。

ネガティブ思考の人の大切なことは、この素晴らしい能力を使う場所を間違えないことです。例えば、グランドオープンの直前の言動です。周りを不安にする言動は一切やめることです。「大丈夫かな、お客様が来ないかもしれない、駐車場で事故があったらどうしよう。え、明日は雨だ、最悪だ」など、思ったとしても言わないことです。ここまで来たら、ポジティブ思考の人に任せることです。もし、考えている不安要素が発生したら、予測しているので、簡単に対応できるはずです。

ところで、ポジティブ思考、ネガティブ思考と簡単に分けることはできないものです。一人の人間の中に両方あるのが真実でしょう。自分自身のネガティブ思考の部分も認めて、受け入れるといいのかもしれません。自分自身に、このネガティブ思考があるから、これまでの人生がうまく行っていたことに気づくことができるかもしれません。

今回の格言は「ネガティブ思考も認めて尊重すること!!」

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株式会社パートナーズリンク社長 藤崎敏郎

元セブン&アイグループの本社スタッフ。その後パチンコチェーン店に入社。機械担当部長、営業部長として勤務する。その後、人事コンサルタントとし て独立。社員研修と人事コンサルティングで日本各地を飛び回っている。これまでに教えた受講者は10万人以上。業界誌にも複数連載し、ナンバー1社員研修 講師と言われている。取得資格:キャリアコンサルタント、販売士1級、社労士、米国NLPマスタープラクショナルコース終了、トレーナーコーチ、メンタル ヘルスマネジメント2級、宝地図ナビゲーター、レイキティーチャー、エネルギーマスターなど

http://p-link.co.jp/index.html(ホームページには各誌の書いた原稿を掲載中)

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