【金曜】林秀樹「ド底辺ホール復活プロジェクト」第7回

2015.02.21 / 連載

調整を見直せ(1) 細かいことは抜きにして回せ

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。今回から連載も後半に入り、コンサルティングの現場での「より実践的な」内容を話していきます。まずは「お客様の満足度を総合的に高める調整」です。どういった調整ならお客様は満足するのか、ド底辺ホール脱却のためにも今回のお話は必読ですよ!

日々の調整は主にスタート回数の調整をします。そして多くのド底辺ホールでは粗利確保に苦労している現実があり、どうしてもまずスタート回数を落とすことを考えることでしょう。「粗利確保のためには、回したくても回せない(回さない)」です。しかし自分がパチンコをする時を考えても、やはり回らないよりは回る店で遊びたいはずです。そうなんです。ド底辺ホール脱却を考えるならまずは絶対に回さないといけないのです。

「そんなことは言われなくても分かっているよ」

そう思った方、本当に分かっていますか? これは「回ったほうがストレスを感じないからいい」という単純な話ではないのです! 実は「あのお店はたとえ負けても楽しい」といった、お客様のお店に対する印象を決定づける重要な要素なのです。

「そりゃ、回すんだから楽しいと思ってもらえるのでは?」

と思った方、違います! 回るから楽しいのではなく、もっと深い要素が隠されているのです。パチンコを打っているときに最も楽しいのはどんなときかというとこれはもう、大当りしたときでしょう。これにスタート回数は関係ありません。回ろうが回るまいが大当たりすれば楽しいのです。ということは大当りするまでが、

①    より早く到達する(大当たり間がより短くなる)

②    より多く経験する

ことで楽しさが増していきます。この傾向(大当りを早く、多く)を繰り返すことで「あのお店は楽しい」と思ってもらうことができるわけです。

①    いかに早く到達させることができるか?

大当り確率が1/300の機種において、

A店…スタート 5.50回/分

B店…スタート 6.00回/分

となっていたとします。この場合、大当たりするまでに必要な回転数は300回なので、

A店…1分間に5.50回だと、大当りまで54.5分(300回÷5.50回)

B店…1分間に6.00回だと、大当りまで50.0分(300回÷6.00回)

ということで、B店のほうが早く大当たりすることがわかります。「大当りまでに必要な回転数は同じでも、回すことで、必要な時間はより早くなる」のです。

②    より多く経験させる

一日の遊技は「通常時→大当り→通常時→大当り・・・」を繰り返します。仮に通常時を55分間、大当り消化を20分間として、一日に打込数が30,000発あるならば「通常時→大当り」のセットが4回あることになります(30,000発=300分間なので、300分÷75分)。この時に通常時を50分間にすれば1セットが70分となり、同じアウト数でも4.29回の初当りを経験できます(300分÷70分)。このように「回すことで通常時間が減り、より多く大当りを経験させる」ことができます。

「回す必要性はわかったけど、そもそも出せないから回せないんだけど?」

そう思った方、違います!今と同じ利益率、玉利でも回すことはできます。調整できる箇所はスタートだけではありませんね?確変ベース、特賞出玉、他入賞を見直してできるだけこの3項目を下げてスタートに割り振ることはできるはずです。

「稼働がないから調整なんてしても変わらないよ」

ド底辺ホールの現場ではこのように考えがちですが、細かい計算(シミュレーション)をして数字を組み立てて、そのとおり調整することはとても重要な作業です。ここで手を抜いていては、ド底辺ホール脱却は絶対に無理です! 「スタートを多く回す」というのはイライラ感をなくすということではなく、「お客様が楽しいと思う時を増やす」意味があります。ド底辺ホールはとにかく回らない傾向が強いですが、そのままではどんな施策をしても「この店は楽しい」と思うようになりません。「とにかく、スタートを上げる」ことがド底辺ホール脱却につながります。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹

1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技 機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入 社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。

アミューズメントビジネスコンサルティング, スタート回数, ド底辺ホール復活プロジェクト, 林秀樹, 金曜