【金曜】林秀樹「ド底辺ホール復活プロジェクト」第5回

2015.02.06 / 連載

今すぐ考え方を変えろ(2) 「限界まで」は停滞と同じ

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。前回は「がんばる必要はない」と題して、「今までと同じ努力をがんばればがんばるほど、欲しい結果から遠ざかる」という話をしました。今回は「努力の質を考え直す」という話をしたいと思います。

皆さんは「現状を変えるために必要な努力」というと、どのくらいのレベルが必要だと思いますか?

「今までよりももっとやること」

「自分の限界までチャレンジすること」

「とにかく自分でやりきったと思えるまで」

などなどが思い浮かぶでしょう。確かにこれらは一生懸命に努力をした時に感じる気持ちです。しかし実はこれらのレベルではまだまだ現状を変えるだけの努力とは言えません。「できる最大限、限界まで努力をすることで現状が変わる」と思っている人は、実際は余力があるのにまだまだ努力をしていないことを白状しています。そしてだからこそ(余力を残してしまっているからこそ)右肩下がりの現実や満足な結果を得られない状況を生んでしまっています。

また、「限界までがんばった!」と思えたときに得られるモノは実は「現状の維持」なのです。なぜなら限界までの範囲が即ち自分そのものの大きさ、自分の能力だからで、限界まで頑張った時にやっと「自分の能力に見合った結果」が得られます。そしてこの範囲(自分の大きさ、能力)を大きくしていかない限りド底辺ホールを抜け出して右肩上がりの状況には辿り着けないのです。

では、自分を大きくするにはどうすればよいでしょうか。答えは簡単です。「限界を超えた行動をする」、これだけです。限界の範囲内というものは言ってみれば「安全圏」です。限界ギリギリまでは自分の知りうる(自分の大きさの)範囲内と言え、その中での行動なら苦労や問題を避けることもできてしまうでしょう。そのような安全な環境で「自分を大きくする=成長」ができるわけがありません。

 こんな話があります。古代ローマで不本意ながら奴隷となり、毎日舟を漕ぐ労役を課された若者がいました。そしてその若者は単に舟を漕ぐだけでなくそれ以上の努力を重ねた結果とても屈強な腕を手に入れます。

あるときコロシアムで試合に出場する貴族が、「馬をひく者が足りないので誰か」と急きょ馬ひきを募集したところ前述の若者が名乗りを上げ、見事その貴族が優勝しました。「どこでそのような屈強な腕を?」という問いに若者は「日々の労役で」と答えます。そして見事優勝の恩恵として奴隷から解放されたということです。

この話で結果的に現状を変えたのは「現状に甘んじずそれ以上の努力をして自分を大きくしていったこと」でした。自分のできる範囲だけの努力であったなら決して奴隷という現状を変えることはなかったことでしょう。限界を超えるということはこれまで自分が知らなかった未知の領域に入ることを意味します。そうすると予想もしなかった苦労や問題が発生し、そしてそのことが自分をより大きくする要素となるのです。

さて、現実の私たちの世界において「限界を超えた行動をする」とはどんなことをすればいいのでしょうか。これも実は簡単です。「すべてのことをこれまでの120%でという意識で行動する」、これだけです。まずは「仕事のスピードをこれまでの1.2倍で」と意識することから始めてください。そうすれば必ず時間が余ります。その余った時間で明日することを今、始めるのです。この繰り返しが時間を濃密なものとし、同じ時間を経過した時の蓄積がこれまでよりも大きくなっていることでしょう。これが「現状を変えるために必要な努力」なのです。

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹

1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技 機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入 社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。

 

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