【金曜】林秀樹「ド底辺ホール復活プロジェクト」第3回

2015.01.23 / 連載

ド底辺ホール、ここが間違い(3) 「客の言うことは聞くな」

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。前回は「理想と現実を直視して格差を埋めよう」という話をしました。今回はさらにもう一歩踏み込んで、「格差を埋めるには顧客ニーズの把握を」という話をしたいと思います。

皆さんは顧客アンケートをしたことがありますか? 最初にはっきりと申し上げます。こんなことは全くの無意味です。自店のお客様にいくら意見を聞いても、そしてその意見を参考に施策を行っても絶対に業績は良くなりません。断言します。 今、自店にいるお客様は少なくとも商圏内のどの店よりも(今現在の)自店を支持しているから、自店で遊技されています。言い換えればその人たちは商圏内の他店には不満を持っているのです。そんな人たちが言う意見は「今いる自分たちが遊びやすいお店とはこういう形だ~」という主張でしかありません。これがどういった間違いにつながるかを確認しましょう。たとえば自店を含めた人数調査が下記だったとします。

自店100人/ A店250人/ B店150人 /C店200人/ 合計700人

自店は商圏内で700人中100人しか支持しない、集客最下位の店舗です。ここでその少数派の意見を取り入れていくと、より一層その他600人が来たくなくなる店舗に向かって行ってしまいます。なぜなら、「今いる100人〝だけ〟が好きな店舗を追究する」ことになるからです。本当に必要な情報とは自店客の意見ではなく、「自店に来ていないお客様の意見」なのです。

「そんなことを言っても自店にいない以上、わからないではないか」

そう思った方もいるでしょう。しかし一つだけ方法があります。それは、「 今、実施している施策をすべて破棄する」です。「今、行っている施策は700人中600人が支持していない。だから違うことをしなければ」と考えるのです。そして続いて、 「これまでにしたことのない施策を実施する」と考えます。「今まで行ったことのない施策をすることで、これまで自店に向かなかった人たちが向いてもらえる可能性がある」のです。

「そんなことをしたら、今の少ないお客様が離れてしまうではないか」

そう思った方もいるでしょう。しかし、今の自店を支持しているのが少数派だということをもう一度理解してください。「今の施策では行かないというのが、いない人の意見である」ということなのです。自店を支持している少数派が好きな店舗を目指していくことにどんな意味があるのか、ということをよく考えてください。 ちなみにこの考え方はド底辺ホールだけに適用されるものではないです。実はこの商圏No.1のA店であっても実は自店の客数よりも自店に来ていない人のほうが多いという事実にも目を向けて考えて頂きたいと思います(A店以外で450人もいる!)。

ド底辺ホールでよく聞く話に、「自店はお店とお客様との距離が近いんだ」というものがあります。「お客様の意見をよく取り入れるホールなんだ」と言いたいのでしょう。しかしこれまでそのようにしてきた結果どうなっていますか?芳しくないからこそド底辺ホールに甘んじているのではないでしょうか。「現在の状況は、過去の結果」なのです。「結果が芳しくないなら、これまでの手法に間違いがあった」と考えなければいけません。自店にいない人は今の自店を否定している、と考えてください。

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹

1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技 機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入 社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。

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