【金曜】林秀樹「ド底辺ホール復活プロジェクト」第1回

2015.01.09 / 連載

ド底辺ホール、ここが間違い(1)「戦術はあとにしろ」

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林秀樹です。昨日の告知どおり「ド底辺ホール復活プロジェクト」を連載させていただきます。さあ、文字数にも限りがあるので早速本題に入りましょう。現状に不満がある、問題があると認識した時はなにかの手を打つはずです。パチンコ店としては、以下が考えられます。

・入替をする

・イベントをする(今は時代的に難しい面もありますが)

・調整を変える

そして面白いことに業績の善し悪しに関係なくどの店舗も「同じこと」をしています。そう、あの競合も、あの強い有名店も皆同じ施策をしているのです。でも得られる結果は雲泥の差。

「そりゃ、資金力だって違うし…」

いやいや、前回もお伝えしたとおり「カネがないならアタマを使え」ですよ! ではカネ(資金力)以外で何が違うのでしょうか。それは「その施策を打つ理由を考えているか、期待する効果を考えているか、目指す未来の流れに沿っているか」という違いです。ひと言で言えば「ちゃんと考えているの?」ということです。例として入替についての違いを確認してみましょう。

■A店の場合

・導入機種…自店の主要客層が好むタイプを選ぼう→ターゲットを考える

・導入時期…強い週にさらに伸ばすためにこの週にしよう→機会を考える

・配置…似た機種をまとめた構成にしよう→お客様のわかりやすさを考える

■B店の場合

・導入機種…最新機種で話題機種を選ぼう→自店の強み弱みを考慮しない

・導入時期…何が何でも最短納期にしよう→メーカー都合の販売時期で自社の都合ではない

・配置…撤去場所にそのまま配置が楽→組み合わせの相乗効果を考慮しない

A店ではまずはお客様のことを考えてそれに合致する入替をしようとしています。いっぽうB店ではこちらのスケジュールや都合を優先しています。どちらの方がより支持されるかというのは一目瞭然ですね。上記のA店の入替には以下の3つの考えがありました。

①    顧客動向を分析して反応の高い施策をしよう

②    強い週をより強くして他社を引き離そう

③    客動線を意識して売上アップを図ろう

入替という一つの施策だけでも、「まずよく考えてから」を意識するだけで大きな差が生まれます。ここでいう「考えること」が一般的に言われている「戦略を立てる」というものです。そして①~③は次のような戦略だったといえます。

①    STP戦略からの、ターゲット選別

②    SWOT分析からの、強みと機会の活用

③    棚割り戦略からの、配置による相乗効果の活用

※「STP」→セグメント、ターゲット、ポジショニングのこと

※「SWOT」→強み、弱み、機会、脅威のこと

このように何か施策を打つ前には必ず「理論的な裏付け=戦略」を考えることで、その施策の結果・効果はこれまで以上に高くなります。また、この「戦略と戦術(施策)の関係」はドライブでの目的地への行き方で例えられます。ドライブで目的地に行くには次のような方法があります。

①    目的地の場所はわからないけど、まずは動く。

②    目的地を地図で確認して、ルートを決めてから出発する。

③    目的地をナビにセットして、ルートを複数確認した中で最も合理的なルートを選んでから出発する。

上記で①は行き方を考えずに実行、②は動く前に考えてはいますが地図を広げて自分の考えだけで決定しています。これに対して③は地図(自分の考え)だけでなく客観的な情報と案内(戦略)を効果的に活用しています。「どれが一番効率的に目的地に到達できるか?」と言えばそれはもちろん③となるでしょう。目的地=目指すべきゴールに向かう場合は、やみくもに動く前にまずは行き方を考える作業はとても重要なのです。

「ド底辺ホール」と言われる店舗の一番大きな間違いは、「やみくもに動いてばかり」というものです。「欲しい結果を得られる効率的、効果的な方法はなんなのか?」ということを先に考えてから行動することで、得られる効果はこれまでよりも大きなものとなることでしょう。

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社
代表取締役 林秀樹
 
1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技 機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入 社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。

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