【日曜】藤崎敏郎「指示が3倍伝わる脳科学アプローチ」

2015.03.02 / 連載

藤崎敏郎の人材育成セミナー

第34回「上司と部下は言語が違う!?」

部下指導をしていると、「どうしてこんな簡単なことが分からないんだ」と、怒りたくなるケースがあると思います。それは、脳科学で説明できます。人間の脳は、大きく分けて、3つの感覚によって外部の情報を処理しています。それは表象システム(VAK)と言われています。VAKそれぞれの言葉を説明すると、下記になります。

V : 視覚 (Visual)~目から取る情報

A : 聴覚 (Auditory)~耳から得る情報

K : 体感覚 (Kinesthetic)~体で感じる情報

例えば、セミナーに参加している時、講師から「ここを見てください」と言われると、見ることに意識が集中して、耳からの情報が入らなくなります。また、「よく聞いてください」と言われると目からの情報が遮断されます。「座っている脚の感覚を感じてください」と言われると、感覚に集中してこれまで見えていたもの、聞こえていたものがシャットダウンされます。人は3つの感覚のうち、一度に1つの感覚しか働かせることができないのです。 そして、この感覚は人により、優劣があることが分かっています。V(視覚)が強い人は、視界から得る情報が強く顔の表情や外見、色彩表現などの視覚を利用して相手と話すのが得意です。視覚情報はデータがたくさんあるので、Vの強い人は早口で大きな声で話すタイプの人が多いです。A(聴覚)が強い人は、聴覚から得る情報が多く、人の声の高低や抑揚、音程などの音の表現を利用して相手と話すのが得意です。また、静かに論理的に情報やデータを駆使して話すタイプの人が多いです。K(体感覚)が強い人は、体感覚から得る情報が多く実際に何かに触れたり、味わったり運動や体を使って、相手と話すのが得意な人です。言葉を味わって話し、感覚的なあいまいな言葉でゆっくりと話すタイプの人が多いです。  世の中には大きく分けると、この3つの感覚に優れた人が存在していることになります。 そのため、世の中に存在する3分の2の人は、自分とは感覚が違う人であるとも言えるのです。 だから、A感覚の強い上司がK感覚の強い部下に指示命令をすると、K感覚の部下は情報やデータを駆使した上司の難しい言葉を理解することができないケースがあるのです。そして、部下は上司の言うことが分かっていないけれど、感覚で「はい」と頷いてしまっているのです。

まず、自分のVAKタイプを知りましょう。それぞれのタイプが良く使う言葉を列記します。よく使う言葉が多いところが、自分の強いタイプです。

V・・・目に入る、暗い、ビジョン、パターン、光、観察する、光り輝く、見る、イメージする、ひらめく

A・・・聞こえる、話す、言う、静か、歌う、ため息をつく、口ずさむ、耳を傾ける、ささやく、怒鳴る

K・・・感じる、冷たい、柔らかい、熱い、緊張する、届く、鋭い、暖かい、触れる、思い、支える

今回の格言は、 「上司と部下が分かりあえない理由は、使っている言語が違うから!?」

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株式会社パートナーズリンク社長 藤崎敏郎

元セブン&アイグループの本社スタッフ。その後パチンコチェーン店に入社。機械担当部長、営業部長として勤務する。その後、人事コンサルタントとして独立。社員研修と人事コンサルティングで日本各地を飛び回っている。これまでに教えた受講者は10万人以上。業界誌にも複数連載し、ナンバー1社員研修講師と言われている。取得資格:キャリアコンサルタント、販売士1級、社労士、米国NLPマスタープラクショナルコース終了、トレーナーコーチ、メンタルヘルスマネジメント2級、宝地図ナビゲーター、レイキティーチャー、エネルギーマスターなど

http://p-link.co.jp/index.html(ホームページには各誌の書いた原稿を掲載中)

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