【日曜】藤崎敏郎「叱る原則か・り・て・き・た・ね・こ」
2014.09.06 / 連載藤崎敏郎の人材育成セミナー第9回
社員研修では、「叱ることができない管理職は失格だ」と教えています。褒めることと同じく叱ることも大切です。すると、研修中に「叱ることができない、苦手だ」という女性管理職から相談を受けました。次のようなアドバイスをすると、とても喜ばれました。
「叱ることの目的をまず考えます。間違っていることを改善させることが目的です。だから、間違っていることを指摘して、こうしたらうまく行くとアドバイスすればいいのです」
これを聞いて「それでいいのですか!」と満面の笑顔になりました。最初は、これだけで十分なのです。相手は間違っていることを指摘されただけでも、叱られたような気持ちになります。このように軽く諭すような気持ちで話しをすれば良いのです。声のトーンも優しく話すことです。叱る時間も短くしましょう。受け取り方は人それぞれですが、今の時代は親からも叱られたことがない人がほとんどです。また、間違っていることをしていたとしても、他の人から指摘されるケースもほとんどないのです。だから、間違いを指摘されただけでも叱られたと感じる人がほとんどなのです。
そして、叱ることが苦手な人が「叱らないとならない」と思ったとき、頭の中でモデルになるのが今まで嫌な思いをさせられたきた学校の先生や上司だったりします。その怒った顔や言葉を思い浮かべるだけでも嫌な気持ちになります。自分が嫌だったやり方で同じように叱ることができるはずはありません。もし、それができたとしても同じように部下に嫌な思いをさせることが目的になるので、間違っていることを改善させるという目的は達成できないでしょう。「叱ること=相手を嫌な気持ちにさせること」という間違った考え方を持っているからです。この間違った考え方を持つ上司から叱られた部下は、会社を退職することになるかもしれません。「あんなひどい叱り方をする上司とは一緒に仕事をしたくありません。会社を辞めます」と。
叱る方の心構えとして大切な心構えを二つ挙げておきます。一つは、自分の思い通りに行かないからと言って、感情的になってはいけません。冷静に「相手の成長か、状況の改善に繋がる」指導をする必要がありますし、それが相手に伝わっていることが必要です。いつも、自分の心に部下に対する愛情を持っていて成長を信じているかを自問自答しましょう。二つ目は、普段の人間関係です。どんなに叱っている自分の方が正しいと思っていても、人は感情で動きます。信頼していない、尊敬していない上司から叱られたとしたら、言うことを聞きたくない、やりたくないと部下は思うのです。それは部下の責任でなく、自分の器の小ささと考えましょう。参考資料に叱る原理原則をあげました。こちらも役立ててください。
*参考
「叱る原理原則は、かりてきたネコ」
か・・・感情的にならない
り・・・理由を話す
て・・・手短に
き・・・キャラクター(性格や人格)に触れない
た・・・他人と比較しない
ね・・・根に持たない
こ・・・個別に叱る
※株式会社ライフバランスマネジメント研究所渡部卓より引用
今回の格言は、
「部下を信じて、優しく借りてきたネコで叱ろう!」
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株式会社パートナーズリンク社長 藤崎敏郎
http://p-link.co.jp/index.html
元セブン&アイグループの本社スタッフ。その後パチンコチェーン店に入社。機械担当部長、営業部長として勤務する。その後、人事コンサルタントとして独立。社員研修と人事コンサルティングで日本各地を飛び回っている。これまでに教えた受講者は10万人以上。業界誌にも複数連載し、ナンバー1人事コンサルタントと言われている。取得資格:キャリアコンサルタント、販売士1級、社労士、米国NLPマスタープラクショナルコース終了、トレーナーコーチ、メンタルヘルスマネジメント2級