【日曜】林秀樹「ド底辺ホール復活プロジェクト」第48回

2015.12.19 / 連載

コンサルティングの現場より(36) 差別化の「意味」を間違えるな!

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。先週末(12日)あたりから全体的に稼働が戻ってきたように感じます。賞与の時期でもあり、これまでちょっとパチンコから足が遠のいていた人たちも「久しぶりに行ってみようかな」という気持ちになっているのでしょう。そしてお店としてはそういったお客様、俗に「スリープ客」と言われる人たちが戻ってくるタイミングでさまざまな施策を用意して稼働アップに努めていることだと思います。ところがこのような施策、結果を出せた店舗とそうでない店舗に明確にわかれています。今回はその違いを探ってみます。

これまでにも何度かお伝えしていますが今は新台入替が集客のキッカケにはなり得ない時代です。また既存の設置遊技機についてもどの店舗もさほど違いはなく、営業方法も横並びという、まさにコモディティ化(均一化)された中での戦いを強いられています。そうすると頭の中に浮かんでくるキーワードは・・・そう、「差別化」でしょう。ところがこの「差別化」、間違ったことをすると余計に業績を悪化させる恐れがある「もろ刃の剣」なのです。

あるド底辺ホールでのお話です。
「今のままでは商圏内で埋没してしまう、他店と違ったことをしなければ!」

もちろんキーワードは「差別化」です。と言ってもなかなか新たに生み出せるものではなく、現状の自店にできることで「他店との違い」を考えた結果、

・他店にはない機種を押す、他店にはない機種を導入していく

という戦術を採用しました。「他店にはない機種」ですから、いわゆる王道の人気機種ではなく珍しい機種やちょっと(かなり?)古い機種を前面にプッシュしていったのです。もちろん、まったくダメでした・・・。古い機種を全面に押し出しても、結局はお客様の支持が得ることはできずに逆に競合に差をつけられてしまったのです。

確かに珍しい機種や古い機種は商圏内にほとんどすでにないものばかりで、他店との明確な違いは出せています。しかし、「差別化」というのは単に他と違うというだけではダメで、必ず「強み」とセットでなければなりません。「他社より優れた部分で違いがあるから、お客様が魅力を感じる」のです。今回の例でいえば他社よりも劣った面で違いを生み出したことになり、お客様により一層ダメな印象を与えてしまったことになるのです。

どのお店も埋没しないために他社との違いを作り出そうとして「差別化」に取り組んでいると思いますが、この「差別化」は自分たちの「良い部分」で違いを追求しないと逆にもっと顧客離れを進行させてしまいます。「差別化は強みとセット」ですよ!

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972 年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したの ち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に 頼らない論理的なホール経営を提唱する。

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