【日曜】林秀樹「ド底辺ホール復活プロジェクト」第37回

2015.10.03 / 連載

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コンサルティングの現場より(25) 利益は手段

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。上半期最後の山場?だと考えられた先週のシルバーウィーク5連休は全国的に低調でした。「平日以上、土日以下」という稼働、売上で推移し、計画していた利益の確保ができなかった店舗も多いでしょう。その足りなかった分をこれからの半年間で取り戻さなくてはいけませんが、これから3か月は一年の中でも最も厳しい時期に差し掛かります。特に今年は遊技機に関しても自主規制の問題で有力タイトルがしばらく販売されないなど厳しい局面であり、こういった時期はそれこそこれまで培ってきた地力の差が出てきます。入替パワーが使えない以上、これまでの営業努力の差が如実に出てしまいます。ド底辺としてはこの時期をどのようにやり過ごすか?非常に頭を悩ませそうです。今週はこういった時期にすべきことをお伝えいたします。

これからの向こう3か月間は業績が右肩下がりになります。季節要因として仕方のないことであり、ここで「落ち込む時期だから対策を!」と何か特別なことを用意しても、結局は思ったような結果は得られないことでしょう。もちろん多少の効果は出るかもしれませんが、「費用対効果」という意味では、同じ予算を用意するならもっと効果の出やすい時期に実施したほうが良いはずです。となると、今動くことは得策とは言えず、むしろ「動かないという施策」を実行すべきといえます。

ただし「動かない」と言っても何もしないわけではなく、「次に動くときのための準備期間」と捉えます。仕掛けをするにはやはりカネがかかります。販促物、遊技機、放出、とにかくカネが必要でありその「準備」ですから、第一義に考えるのは「貯めること」。そして貯めるにも2種類の手法があります。

①  出さない

放出というのは、いきなりそれだけを始めても効果が出ません。大型入替やリニューアルなど必ず何か別のキッカケが必要です。そしてそういった施策は良い外部要因があるときにしないと効果も半減です。「客数が落ちる時だからこそ、出して稼働を維持する」というのは強者の戦術です。ド底辺=弱者は、「ダメなときはじっと耐える」を選択すべきです。

②  使わない

余計な入替をしないことです。10月でパチンコ、11月でスロットの旧内規機種の販売が終了しますが、あくまで(現時点では)新台の販売が終了するだけで、中古機は12月以降も入替が可能です。結果が出にくい時期に投資を増やしても費用対効果は薄いものです。「現状維持」を目指すことで耐える時期です。「利益は企業存続の条件であり、利益とは未来の費用、事業を続けるための費用である。目標を実現させるうえで必要な利益にかける企業は危うい企業である」。これは著名な経営学者であるピーター・ドラッカー氏の言葉です。利益を上げるからこそ、目標実現に近づくのです。まずは利益を確保すること。ド底辺だからこそ利益を残すべきであり、そうすることで将来の目標=強豪店へ近づきます。

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹

1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技 機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入 社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。

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