【日曜】林秀樹「ド底辺ホール復活プロジェクト」第30回

2015.08.17 / 連載

※金曜日から日曜日に移動しました!

コンサルティングの現場より(18) 「絶対比較」をしろ!

 皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。今日でひとまず「お盆営業」という期間が終わります。しっかりと利益の確保はできましたか?

さて今週もあるド底辺ホールでのお話です。このお店では店長の下に副店長という役職がおらず、主任3人体制で営業していました。店長としては「3人を競わせてレベルアップを促す」という考えだったようです。比較的若い3人なのでやる気も見え、ド底辺ホールとはいえ一生懸命に動いていました。

ところがこの3人、動くとはいえ「必死さアピール」ばかりなのです。「いかに他の2人よりも自分が汗をかいているか」を強調することで「いかに他の2人が動かないか」を言外に伝えようとする行動が目につきました。これではいつまでたっても「ド底辺を脱却する」ことは無理というものです。

「絶対比較」と「相対比較」いう言葉があります。「絶対比較」とは基準となるものをベースに比較をし、「相対比較」というのは基準があるのではなく全体の中で順位付けなどをすることです。たとえば試験での合格、不合格のラインが、以下のようなものです。

①  60点以上を合格とする・・・60点という基準を超えたら何人でも合格=絶対比較

②  上位20%を合格とする・・・40点だろうが上位20%以内であれば合格=相対比較

今回の3人の主任、まさに上記②の相対比較に精を出してしまっています。本来「競争」というのは、お互いが自分自身のレベルをアップしていくことで全体のレベルが上がっていくことを志向しているはずです。しかしここでもしも対象者が相対比較に目を向けてしまうと、どうしても自分のレベルアップよりも他人の足を引っ張ることで相対的に上回るほうに力を入れてしまいがちになります。なぜならそのほうが“楽”だからです。(自分の能力を伸ばすよりも他者の足を引っ張るほうがはるかに楽で、早いもの。)

 ド底辺ホールと強豪店の違い、それは「明確な判断基準があるのか、ないのか」です。強豪店や有力チェーン店では、昇進昇格には明確な基準ややるべきことがはっきりしています。逆にド底辺ホールでは昇進昇格が情実(能力ではなく心情で判断すること)であったり対象者同士での相対的な比較であったりということが多く見られます。「競争」は相対比較で行ってはいけません。「これをできるように~」、「意見をまとめる力を~」、「分析をしてみろ~」など明確な課題を示し、「できるのか、できないのか」で判断することで部下のレベルアップが図られます。ド底辺ホール脱却のためには上司の考え方がとても重要なのですよ!

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹

1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技 機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入 社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。

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