【日曜】林秀樹「ド底辺ホール復活プロジェクト」第27回

2015.07.27 / 連載

※金曜日から日曜日に移動しました!

コンサルティングの現場より(15) バカの壁

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。7月も最終週となりお盆商戦も目前です。これからはビッグタイトルも続々発売されるので久しぶりに活気のあるホール状況が見られそうです。

しかし、ことド底辺ホールともなればそんなビッグタイトルが納品されるはずもなく、また納品されたとしても少台数なので競合店よりも見劣りしてしまいます。結局はこういったビッグタイトルが発売される時期というのは、「強い者はより強く、弱い者はより弱く」と格差拡大の時期ともいえます。こういった時こそ知恵を絞らないといけませんね。この「知恵を絞る」というのは言い換えると「現状を変えるために、固定観念を打ち破る」ということだといえます。

とあるド底辺ホールでのことです。なかなか浮上のきっかけもつかめない現状から脱却するためにいろいろな施策を考えていました。ところが意見は出るもののなかなかまとまりません。

「思い切って○○○などをしてみてはいかがですか。」

「そんなことをしても効果があるのかなあ。」

「でも、やってみないとわかりませんよ。」

「でもね、そうはいっても多分何も変わらないよ。僕はそう思うね。」

案は出せどもイマイチ煮え切らない態度が続き、最終的には「当面は今のままで行こう」となりました。確かに現状のままで行くことはリスクも少ないでしょう。でも、そのかわりに何も変わりません。いまのままド底辺の状況が続きます。それでも「変えない」という選択をするのは、「怖い」からです。変化に対して臆病になっているからです。

「バカの壁」という言葉をご存知でしょうか。2003年に出版された、東京大学名誉教授である養老孟司氏の著書のタイトルです。400万部を超える大ベストセラーとなり同年の流行語大賞も受賞したので知っている方も多いかもしれません。この本のタイトルはなかなかインパクトがありますが、要約すると以下のようになります。

・経験もせずにわかった気になっていること、「変わらない、不動の自分」に酔って個を主張すること、これらはすべて思考が停止した状態であり自分の周囲に壁を作ってしまっているのだ。

そしてその壁は分厚く、理解しようとしない人間には何を言っても無駄なのだとも言っています。そんな状態ではどれだけ情報が入ってきても前に進むことはできません。そうなってしまったら最後、ド底辺から脱却することはほぼ絶望的です。思考には幅を持たせ、少なくとも、経験する前にわかった気になって判断を下してしまうような愚かなことはすべきではないのです。自分にある「壁」を取り払うこと、そのためにはまず動くこと、そして経験してから判断すること。これを常に意識して行動に移すようにしていきましょう。

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹

1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技 機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入 社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。

 

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