【日曜】林秀樹「ド底辺ホール復活プロジェクト」第25回

2015.07.13 / 連載

※金曜日から日曜日に移動しました!

コンサルティングの現場より(13) 一時的なことは気にするな!

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。7月に入り、ここ2か月ほど低迷していた稼働、売上が少しずつ上向きになってきたような印象があります。これは全体的な上昇=外部要因であり、この機会を生かしてもっと自店にお客様を取り込もうといろいろな施策を練っていることだと思います。

ところで前々回(第23回「一度決めたら徹底しろ!」)で「一度決めたことは徹底してやり抜いてください」とお伝えしました。しかし現実的にはなかなか思い通りにはいかないと感じていることでしょう。また、「チカラを入れると決めて運用しても、稼働が伸びないどころか下がってきてしまう」となる場合もあり、結果的に元に戻してしまう事例も多々あります。今回は、なぜこういったこと(力を入れて運用しても稼働が伸びないどころか下がる)が起こるのかを解説します。

まずは逆のパターンを確認します。すなわち「しっかりと利益重視の方向性を決めて運用したら、なぜか稼働が伸びてきた(または稼働は維持している)」という状況です。当面は玉単価の上昇で売上が伸びるので、「なんだ、シメても大丈夫だ」と思ってしまいます。しかしその後は少しずつ稼働が低下していき、気づいた時にはもう元に戻すことが困難な稼働になっていた、なんてことがあります。

パチンコ営業についてよく、「少々出ないほうが、客は熱くなって突っ込む」と言われます。これはその通りなのですが、一人一人の財布の上限は決まっているので、負けが込んでくるとそのうち「パチンコに行きたくても行けない」という状況になります。だから、「シメは短期的には影響を及ぼさないが、長期的には必ず負の影響を及ぼす」ことになるのです。続いて今回のテーマ、「チカラを入れたのに稼働が下がる」という状況です。これは、

・客は勝つと、勝ちを確定させたくて即止めをする

・勝ったらそのお金を別で使いたがる

という行動パターンによります。だから一時的には稼働が伸び悩みますが、実はこの後で「あの夢をもう一度~」と、また勝とうと思って来店します。このときに「チカラを入れる」を継続して実施していることで、「あの店はいい」というサイクルが出来上がり、その後の稼働の伸びにつながっていくのです。

なお、この2つ(一時的に上がるけれども後々は下がっていくこと、一時的には下がるけれども後々は上がっていくこと)は、経済学でいうところの「Jカーブ効果」と呼ばれる現象と同じです。

※Jカーブ効果・・・円安になると輸出が増えるので本来ならば貿易収支が改善するはずだが、為替相場が即座に企業間取引に反映できるものではないので短期的には円建て収入の目減りにより収支が悪化する。その後は円安の恩恵で輸出が増えるので収支は改善していくという現象。その軌跡がアルファベットの「J」のように見えることからつけられた。(逆も同じ。その場合はJが上下反転した軌跡となる。)

ド底辺ホールでは一時的な現象に右往左往する傾向が多々あります。しかし、「王道こそ最強の戦略」と考えてください。「パチンコの王道=アケれば増える、シメれば離れる」です。チカラを入れたのに(一時的に)稼働が落ちたとしてもそこでくじけずに「王道」を突き進めてください。この連載中に何度も繰り返していることですが、「一度決めたらやり抜け!」です。

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹

1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技 機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入 社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。

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