【日曜】林秀樹「ド底辺ホール復活プロジェクト」第24回

2015.07.06 / 連載

※金曜日から日曜日に移動しました!

コンサルティングの現場より(12) 差別化をするな!マネをしろ!

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。6月後半から徐々に売上、稼働も回復傾向が見られます。とはいってもどの店も同じように回復しているのであり、これは外部環境的な現象といえます。つまり決して「自分たちの努力によって=内部環境的に」回復してきたわけではないことに注意してください。

さて、ド底辺ホールという現状から脱却するために日々努力をされていることだと思います。でも、その努力は本当に効果がでているでしょうか。もしかしたら「あまり効果がないな・・・」と感じつつも行っていることがあるかもしれません。今回はそんなド底辺ホールでのお話です。そのド底辺ホールは商圏の6店舗中で5番手の稼働でした。

・入替予算が少ない

・常に人手が足りない

・設備面で後れを取っている

このように、稼働低迷ホールにありがちな状況です。さらに近隣には大手ホールが立ち並び、なかなか存在感を発揮しきれていません。そこでこのホールは考えました。

「存在感を発揮するためにも、独自性を出し、ほかに見られない営業をしよう」

 ほかに見られない営業とはどういったものか?連日の社員ミーティングで出した答えは次のようなものでした。

・商圏内に見られない貸し玉料金の導入をする

・低交換個数にして他店にできない回転数での営業を進める

・商圏内に導入されていない機種の導入を進める

そして上記の方向性を基に進めていった結果は・・・。むしろ稼働を落とす結果となってしまいました。この間違いの元は、「差別化」をキーワードとしたことです。

 「ポジショニング戦略」という考え方があります。これは商圏内の立ち位置によって戦略・戦術は違うということを示しています。ポジショニング戦略では立ち位置を4つに分類し、各々は写真2枚目のとおりです。

・リーダー企業は商圏全体を向上させることで自社のシェアを維持すれば売上(利益)が上がります。またチャレンジャー企業と同質化を進めることで「同じモノなら、ウチで」という図式を作ります。

・チャレンジャー企業は上位(リーダー)と違いを作ることで埋没化を防ぎます。

・フォロワー企業はそもそも力がないので、上位企業と同じことをして選択肢の俎上に乗ることを目指します。

・ニッチャー企業はフォロワーの一種ですが、スキマを狙ってその小さい市場でのNO.1を目指します(ただしそのスキマ市場自体に、そもそも自分たちが生き残れるだけの大きさがあり、且つ上位企業がその市場に参入してこない場合に限ります)。このド底辺ホールは当然「フォロワー」となるので、取るべき戦略は「徹底追従、模倣、リスク回避」のはずです。ところが進めた方向性はすべてチャレンジャー企業がとるべき方向性です。これでは効果が出るどころか逆にそっぽを向かれてもしかたがないでしょう。

「そんなことを言っても、差別化をしないと埋没してしまう」

違います。そんなことを言っているからド底辺なのです。「すでに埋没」しているからド底辺なのです。そんなド底辺ホールがしなければいけないことは、以下のとおり。

・上位店舗と同じことを進めて、上位店舗に同化する

ことなのです。例えば「商圏内に見られない貸し玉料金の導入をする~」とすると、その貸し玉料金を嗜好する客層は自店“だけ”で開拓する必要があります。そんなチカラがあるならそもそもド底辺に甘んじているわけがないでしょう。それよりも「あっちもいいけど、こっちにも同じモノがあるよ~」、「あっちがダメだったときはこっちにも同じものがあるよ~」とすることで、顧客の開拓には自店だけでなく他店のチカラも拝借することができます。フォロワー=ド底辺ホールは差別化を進めれば進めるほど孤立して埋没します。ド底辺ホールという現状、まずすべきは「マネ」ですよ!

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹

1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技 機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入 社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。

 

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