【日曜】林秀樹「ド底辺ホール復活プロジェクト」第20回

2015.06.08 / 連載

※金曜日から日曜日に移動しました!

コンサルティングの現場より(8) 過去を追及しても、今も未来も変わらない!

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。先日、とあるド底辺ホールの会議にてこんな会話がありました。

上司「今月の利益計画の進捗はどうなっている?」
店長「利益計画の達成は厳しい状況です」
上司「なんでそうなる前に手を打たなかったんだ?」
店長「いや、利益確保を進めてはいたんですが、如何せん稼働が低くて・・・」
上司「どれどれ、データを見せてみろ」
上司「玉利が高いな。こんなことをしているから稼働が落ちるんだぞ!」
店長「でも利益確保のためには取っていかないと・・・」
上司「わかってないな!稼働がないと何も始まらないんだぞ!」
上司「この機種の運用をもっとしっかりしていれば稼働の落ち込みを避けられて・・・」
上司「この日にこんなに取り過ぎたから稼働も落ちて・・・」

こんなやり取り、現場では多く見られます。でもこの会話、何かがおかしいと思いませんか?

「上司の言い分がおかしい。利益の話がいつのまにか稼働の話に変わっていっている」

そうですね。上司の話がいつの間にか利益から稼働にすり替わっていて、結局取っていればよかったのか出せばよかったのかどっちなのでしょう。でも、実はこの会話のおかしな点はそこではありません。本当におかしな点は、結果(過去)の追求しかしていないことなのです。

もちろん問題となっていることの原因をしっかりと把握することは重要です。でも本来は、「こういう結果だから、この先をどうする必要があるのか?」を議論していかなくてはいけないはずです。

「問題」と「課題」という2つの言葉があります。この両者は似て非なるもので、
問題・・・「~がダメだ」=過去のこと
課題・・・「~すべきだ」=未来のこと
という違いがあります。内容的には両者とも同じことを言っているのですが見ている方向が真逆なのです。たとえば「スタッフ数が足りない」という事象については、
問題としてみると・・・「人手が不足していることがダメ」(これまでの結果)
課題としてみると・・・「人員補充をするべき」(これから必要なこと)
という違いになります。

上記を踏まえた上で、今回の上司と店長の会話を本来あるべき姿に直すと、

上司「今月の利益計画の進捗はどうなっている?」
店長「利益計画の達成は厳しい状況です」
上司「そうか。その原因をどう分析している?」
店長「稼働の低迷が主な要因です。割数があっていても金額で追いつかない状況です」
上司「そうか、分かった。では今の状況を改善するために何をすべきだろうか」
店長「稼働の回復を図るための施策を打つべきだと思います。そしてその財源確保のために、当面は利益の確保を優先すべきだと思います」
上司「よし、分かった。では当面は利益確保に専念してくれ。その間に施策計画を練ろう」
店長「かしこまりました。そのように進めます」

といったところでしょう。

ド底辺ホールの現場では、えてして責任追及、結果論の議論ばかりになりがちです。そうではなくて原因分析の先にある未来、これから何をするべきかの議論をするように意識してください。過去の結果にばかりとらわれすぎていてはいつまでたっても未来は変わりませんよ!常に前を向いて、この先にすべきことを考えることがド底辺ホール脱却への道です。

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹

1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技 機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入 社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。

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