「計数管理の知識で他店調査」

2018.08.04 / 連載

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(173) 競合店のメンテナンスを「数値」で把握する

皆さんこんにちは、アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。7/19日(木)に綜合ユニコム様主催で「計数管理研修基礎編」を開催いたしました。次はこの基礎知識を実践で生かすための考え方を「応用編」として8/23(木)に開催いたします。

さて今回も計数管理に関するお話をお伝えします。今回は「他店の使い方を把握する」についてお伝えします。計数管理の知識を外向けに利用しようというものです。

 

■ 他店調査

他店調査では必ず試打をするようにし、スタート回転数を数えます。一般的に言われる「1,000円スタート」で、「A店は1,000円で20回、B店は19回・・・」というものです。しかし自店のホールコンピュータに表示されるのは「アウト100個当たり」のスタート回転数なので自店との比較ができません。競合店どうしの比較はできるが、自店との比較ができないのです。(最近のホールコンピュータには1,000円スタートを表示するものもあります)

では絶対に比較ができないか、というとそのようなことはありません。1,000円スタートをアウト100個当たりのスタート回転数に変換すればよいのです。

 ■ 1,000円スタートからの変換

計数管理で言うところの「スタート」という概念は、「通常時(特賞、確変、時短中を除いた時間)の単位時間当たりに特別図柄が回転した回数」です。この「単位時間」を一般的にはアウト100個で考えるのです。

例えば通常時のアウトが12,000個あり、そのときの総回転数が640回だったとします。「12,000個の玉を打ち込んで640回転した」ということなので、単位時間(アウト100個)当たりの回転数を求める場合、計算は次のようになります。

 

637(回)÷12,000(個)×100(個)=5.308・・ ≒5.31(回)

 

そして、1,000円スタートからアウト100個当たりスタート回転数への変換にはこの考え方を応用します。つまり、「試打において自分が打ち込んだ玉の総数を使って、○回転まわした」と考えるのです。

ここで他店試打5,000円でのデータが次のとおりだったとします。(4円パチンコとする)

 

・回転数 90回(賞球4個)

・オーバーフロー 6回(賞球4個)

・他入賞 12回(賞球5個返し)

 

「自分が打ち込んだ玉」の内訳は、貸玉とその遊技中に払い出された玉ですから、払い出された玉数がいくつだったかを確認します。

 

回転数 90回×4個=360個

オーバーフロー 6回×4個=24個

他入賞 12回×5個=60個

合計 360個+24個+60個=444個

 

これに貸玉5,000円分1,250個を加えると、全部で1,694個の玉を打ち込んで85回まわしていることになります。

 

90(回)÷1,694(個)×100(個)=5.312・・・ ≒5.31回

 

これで自店と他店が同じ指標で比較ができるようになりました。

 

■ ベースを把握する

またこの試打した際のデータから、ベースも求めることができます。ベースの概念は「通常時(特賞、確変、時短中を除いた時間)の出玉率」です。出玉率の計算は「セーフ÷アウト×100」であり、試打した際のデータでセーフもアウトもわかっています。上記試打から、

 

セーフ=遊技機が払い出した玉数=444個

アウト=試打で打ち込んだ玉数=1,694個

 

となるので、

 

ベース=444(個)÷1,694(個)×100=26.210・・・ ≒26.21%

 

と把握できます。

さらにスタートとベースがわかったので、BY(他出玉)も計算で求められます。

 

BY=ベース-(スタート回転数×賞球数)

  =26.21-(5.31×4)

  =26.21-21.24

  =4.97

 

他店調査をする場合は必ず実際に試打をしましょう。こうすることでさまざまなことが把握できるのできます。

 

 

 

綜合ユニコム様主催「計数管理研修 応用編」が開催されます。

■ 応用編 2018年8月23日(木) 13:00~17:00

[応用編]では、基礎編で学んだ基本用語と基礎知識を活用してより実践的な遊技機の運用についてお伝えします。特に日々の営業に関する悩みは計数管理を理解することで解決できることを学んでいただきます。

応用編の最後には、まとめとして遊技機管理の知識を計画に落とし込むための考え方を学習し、日々の営業で活用することができるようになっていただきます。

 

1.実践シミュレーション

・遊技機シミュレーションの考え方

・シミュレーションの組み立て方

・競合店の遊技機運用を推測する

2.営業への活用

・どうしても割数が落ちないときにどうするか

・体感スタートとHC(ホールコンピュータ)スタートの違いとは

・ベース管理が勝敗を分ける

・玉粗利ではなく玉単価を見る

・客滞率の重要性を理解する

3.営業計画の作成

・年度計画作成のポイント

・月間計画作成のポイント

・機種別計画作成のポイント

・メリハリの考え方

・進捗確認(週間集計)と修正のポイント

 

詳しくは下記綜合ユニコム様HPでご確認をお願いします。

皆さまのご参加、お待ちしております。

http://www.sogo-unicom.co.jp/pbs/seminar/2018/0712.html

http://www.sogo-unicom.co.jp/pbs/seminar/2018/pdf/20180712_0803.pdf

 


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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。著書に「ジリ貧パチンコホール 復活プロジェクト」(幻冬舎)がある。

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