「来たくなる店へクラスチェンジする二つの手段」

2018.06.09 / 連載

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(165) 選択肢に入るために

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林秀樹です。相変わらず厳しい稼働が続きます。パチンコ店に限らず企業は「利益を上げる」ために活動しているのですが、そのためにまず必要な「お客様に来ていただくこと」ができていない現状です。

一般的な小売業においては、お客様に来店していただいて初めて商品を選んでいただき、購入していただくことができます。これはパチンコ店であっても同じです(パチンコ店の場合は「来店していただき、機種を選んでいただき、遊んでいただく」となります)。

今回は「お客様に自店を選んでいただくためにはどうすればよいか」について改めて考えてみます。

■ 必要なこと(1)機種構成
機種構成はとても重要です。機種構成とは小売業界に置き換えると「商品構成」といえます。小売業界において、お客様が欲しくない商品をいくら並べても欲しくないのだから絶対に売れません。またセール(安売り)は「お客様が欲しがる商品を安く提供するから、お客様が群がる」ものです。いくら安くても欲しくない商品は誰も買いません。

これらをパチンコ店で言えば、
・遊びたいと思えない機種をいくら設置しても遊んでもらえない
・遊びたいと思えない機種で玉利をいくら下げても遊んでもらえない
ということです。つまり機種構成がよくないと、その時点で遊技の選択肢に入らないということなのです。

一部には「古い機種ばかりで機種構成がよくない」のにかなりの集客をしている店舗もあります。店舗視察などでこのような店舗を見て「頑張ればなんとかなる」と考える方もいますが、これは無意味です。どんなものにも例外はあるもので、このような例外を取り上げて機種構成がよくない店舗がそのままの状態で頑張るよりも、機種構成をよくした上で努力したほうがはるかに効率よく集客ができます。

■ 必要なこと(2)プラスアルファ
現在のパチンコ店では、機種構成で他店との違い=差別化を図ることが難しいです。そのためお客様のニーズにあった機種構成にしても、それだけで自店を選んでいただけるとは限りません。

「再販制度」というものがあります。正確には「再販売価格維持制度」といい、著作権保護の対象物のうち6品目(書籍・雑誌・新聞・音楽CD・音楽テープ・レコード)について定価販売を義務付けるものです。つまりこの6品目を扱っている店舗では価格面で差別化を図ることができないことになり、別のことで自店を選んでもらう必要があります。

ここで一方の書店は清掃も行き届いており笑顔で接客をする店員さんがいます。もう一方の書店は店内も薄暗く雑多に本が並んでおり、店員さんも無愛想です。さて、人はどちらで本を「買いたい」と思うでしょうか。

価格面や品揃えで差別化をできなければソフト面での差別化が必要になります。お客様が「どのパチンコ店で遊ぼうか」と考えるときは、おそらく「出そうか(出玉)」「遊びたい機種があるか(機種構成)」「予算とリターンはどうか」「行きやすいか(距離や時間)」などいろいろな基準から、最も自身の条件に合致した店舗を選ぶはずです。このとき、選択肢に上げた店舗が先にあげた条件のすべてで同じだったとしたら、あとは先ほどの書店業界のように、判断基準は「店舗の雰囲気」ということになります。

■ 選択肢に入るために
これまで見てきたように、お客様を集めるにはまずは「選んでいただく(選択肢に入る)」ことが必要です。商品の品揃え=機種構成をお客様のニーズに合ったものにした上で、プラスアルファとしてお客様が行ってみたくなるような雰囲気を作るようにしてください。

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。著書に「ジリ貧パチンコホール 復活プロジェクト」(幻冬舎)がある。

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