「何が何でも新規」と考えて結果が得られない時はどうするべきか?

2019.07.19 / 連載

※PiDEA編集部より
林秀樹さんの連載が日曜日から金曜日に変更になりました。

 

【金曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(222) データは見るものではなく。活用するもの

 

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。PiDEA WEBのリニューアル、そして金曜日に移動しての第1回となります。内容はこれまで通り「ド底辺ホールから脱却するために必要なこと、考えること」をお伝えしていきますので、改めてよろしくお願いいたします。

 

先週より注目機種であるP牙狼の導入が始まりました。P牙狼は一撃の爆発力もありまずまずの結果となっています。しかし過去のようなビッグヒットといえるような稼働ではないです。あらためて、新台の導入や入替で業績向上、新規客の呼び込みを図るというのは難しい時代だと感じます。

 

ただ、入替に限らず施策全般に言えることは、
・どのようなことを行っても、新規客を呼び込むことが難しい時代である
です。

 

こういう時代に「何が何でも新規」と考えていてもなかなか結果は得られないので、頭を切り替えて「既存客中心」と考えるべきです。

 

特にド底辺ホールは、そもそも新規客を獲得する力があるならば現状がド底辺ではなかったはずです。「1:5の法則」にもある通り、まずは既存客の維持、関係性の強化を考えるべきでしょう。
※「1:5の法則」・・・新規客獲得には既存客維持の5倍のコストがかかるという法則。

 

既存客の維持、関係性の強化という事は、

・来店回数を増やすには、どうすればよいか?

・滞在時間を長くするには、どうすればよいか?

を考えることになります。

 

もちろんこれらを達成するには店舗オペレーション等も重要ですが、「商品力」という観点からは既存設置機種も重要な管理点です。そして既存設置機種の商品力向上には細かいデータ管理を徹底することが求められます。

 

データを管理するというのは一義的には、
・数字という結果が示す現状を確認する
ということとなります。

しかしデータ管理をこのように捉えている限り、数字は「与えられたもの」となり接し方が受動的で「管理するための資料」としての域を超えることはありません。ここで、与えられた結果としての数字を「改善するための資料」と捉えることによって、数字は能動的にコントロールしていくものであるという意識が働きます。

 

データ管理に限らずすべての業務は業績向上のために行うわけであり、その中でも特に数字の管理は売上、利益に直結する業務になります。だからこそ結果を捉える指標としてではなく、問題点や課題点を示している指標としての「活用」が求められます。

 

例えば玉単価という指標があります。玉単価は「台売上÷台当たりアウト」で求められる「アウト1発当たりの売上」であり、遊技でのお客様の負担感を表します。
※10,000発の遊技で玉単価1.0円なら10,000円、1.2円なら12,000円の台売上になり、同じ稼働(遊技時間)において玉単価の高低で遊技中の負担感の違いがわかる。

 

玉単価が高ければ使用しなければいけない金額が多くなるので、玉単価を低くすれば同じ予算での遊技時間が伸びることになります。そして玉単価を低くするには持ち玉遊技時間を伸ばしてあげればよく、そのためにはできるだけ早く大当たりをさせればよいことになり、シンプルに考えればスタート回転数を上げることで達成できます。

 

しかし単にスタートを上げるだけではいろいろな問題があります。そこでベースとスタートの関係を計算して問題の解消を図ることになります。自店の客滞率を確認し、その条件下でスタートとベースの組み合わせを計算する、つまりシミュレーションを行うことで導き出せます。

 

また玉単価を下げることを志向すると、持ち玉に早く移行させることにつながることから必然的に客滞率の上昇という効果も得られます。これらは「感覚的に」はその通りだと思うかもしれませんが、これを「計算で」行うことに意義があります。しっかりと数字を使って判断する、これが「データの管理を実践する」ということなのです。

 

ホールコンピュータを見ればすぐにいろいろな数値が表示されます。しかしそれはこれまでの結果を表示しているだけであり、そこから「活用」への意識を持たなければ何の意味もありません。数値という結果を様々な視点で活用する方法を考えることで、業績向上という結果は必ず得られます。

 

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。著書に「ジリ貧パチンコホール 復活プロジェクト」(幻冬舎)がある。

ド底辺ホール, 林秀樹, コンサルティング
サンラー4年以上

何となく理解した!

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RYUJI NAKANE4年以上

なるほど

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クレティ4年以上

使えない経費がある中で、様々な挑戦もしましたが、なかなか難しいんですよね。
ただ後ろだけ向いてては、ジリ貧なんですよね。私の永久の課題です。

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進入禁止4年以上

確かにデータ活用を次に活かせなければ、データの持ち腐れですね。

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