「他業種にはない割数という名の計数項目」

2018.06.30 / 連載

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(168) 割数の意味

皆さんこんにちは、アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林秀樹です。この夏も綜合ユニコム様主催「計数管理研修」が開催されます。今回は基礎編と応用編が1カ月の期間を空けての開催になり、より受講しやすくなりました。また基礎編、応用編のどちらかのみの受講も可能です。そこで今回から4回に分けて計数管理に関するお話をお伝えしていきます。初回は「割数の意味」についてです。

遊技機の管理、および店舗の利益管理でも活用される「割数」という計数項目、これは他業種では見かけずパチンコ店だけで活用される数値管理項目です。まずその用語の定義は、
・お客様が借りた玉の、何倍の玉が交換されたか(景品割数)
・お客様が借りた玉の、何倍の玉を出したか(機械割数)
となり、「貸玉(売上玉)をベースに考える」という点に特徴があります。よく似た計数項目に「出玉率」がありますが、こちらはお客様の「打ち込んだ」玉をベースに考える指標という点に違いがあります。(違いは下図表参照)






さてこの割数、一般的には利益管理に用いられます。例えば12.0割分岐の店舗において割数が10.8割であれば利益率は10%である、というような使い方です。

※利益率=(損益分岐割数-割数)÷損益分岐割数×100=(12.0-10.8)÷12.0×100=10%

割数をこのように見てしまうとその視点は「利益をどれだけ取るか」に向かってしまいます。例えば「利益は10%ではなく20%欲しいから、9.6割にしよう」というような見方です。

※割数=損益分岐割数×(全体-利益率)=12.0割×(100%-20%)=9.6割

しかしこの捉え方は間違っています。割数は「何倍の玉を出すか(出したか)」を管理する指標なのですから、「利益をどれだけ取るかの指標」ではなく「出す比率の指標」と捉える必要があります。上記で言えば、
・お客様の借りた玉の、1.08倍の玉を出そう(=10.8割)
・お客様の借りた玉の、0.96倍の玉を出そう(=9.6割)
です。要は「どれだけ取るか」ではなく「どれだけ出すか」を数字で見るという認識を持つことです。こうすることでお店都合の考え方=プロダクトアウトではなく、お客様都合の考え方=マーケットインにつながります。

仕事はすべてにおいてお客様=市場からの視点で考える必要があります。割数という指標も同じように、お客様視点の使い方を意識してください。


綜合ユニコム様主催「計数管理研修」が開催されます。今回は基礎編と応用編が1カ月の期間を空けての開催になり、より受講しやすくなりました。また基礎編、応用編のどちらかのみの受講も可能です。なお両日とも東京ガーデンパレスにて開催いたします。

■ 基礎編 2018年7月19日(木) 13:00~17:00
現在のホールコンピュータには様々な数字が表示されています。それら一つひとつをただ受動的に見るのではなく、能動的に使っていくためには、各項目の意味と成り立ちを理解し、自分で計算ができるようにならなければいけません。
[基礎編]では特に遊技機メンテナンスに必要な項目の理解を目的としています。「覚えるではなく、理解する」がテーマです。

1.遊技機の管理に関する計数項目の理解
・特賞間を管理する項目(スタート、TS、BO)
・消費金額を管理する項目(ベース、BY、BA、B%、1,000円スタート)
・特賞玉数を管理する項目(TY、T1Y、T①Y)
 2.店舗の営業に関する計数項目の理解
・出玉を管理する項目(差玉、出玉率)
・利益を管理する項目(景品割数、機械割数)
・営業を管理する項目(玉単価、玉粗利、誤差玉、ほか)
 3.遊技機の運用シミュレーションの作成
・客滞率とBサの理解
・基本的なシミュレーションの作成
・応用シミュレーションの作成

■ 応用編 2018年8月23日(木) 13:00~17:00
[応用編]では、基礎編で学んだ基本用語と基礎知識を活用してより実践的な遊技機の運用についてお伝えします。特に日々の営業に関する悩みは計数管理を理解することで解決できることを学んでいただきます。
応用編の最後には、まとめとして遊技機管理の知識を計画に落とし込むための考え方を学習し、日々の営業で活用することができるようになっていただきます。

1.実践シミュレーション
・遊技機シミュレーションの考え方
・シミュレーションの組み立て方
・競合店の遊技機運用を推測する
2.営業への活用
・どうしても割数が落ちないときにどうするか
・体感スタートとHC(ホールコンピュータ)スタートの違いとは
・ベース管理が勝敗を分ける
・玉粗利ではなく玉単価を見る
・客滞率の重要性を理解する
3.営業計画の作成
・年度計画作成のポイント
・月間計画作成のポイント
・機種別計画作成のポイント
・メリハリの考え方
・進捗確認(週間集計)と修正のポイント

詳しくは下記綜合ユニコム様HPでご確認をお願いします。
皆さまのご参加、お待ちしております。
http://www.sogo-unicom.co.jp/pbs/seminar/2018/0712.html
http://www.sogo-unicom.co.jp/pbs/seminar/2018/pdf/20180712_0803.pdf

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。著書に「ジリ貧パチンコホール 復活プロジェクト」(幻冬舎)がある。

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