「一点集中」よりも「平常の稼働」を優先すべき

2018.09.01 / 連載

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(177) セオリーが通用しなくなっている

皆さんこんにちは、アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。9月に入りました。8月はお盆こそまずまずの稼働を示しましたが、お盆を過ぎるとやはりというか、例年通りに稼働が急激に落ち込んでいます。

これまで、こういったときにすべきことは「将来の原資としての利益の確保」とされていました。「今は何をしても結果が得にくい時期なので、動かずにじっと耐える」という考えです。

私は過去のこの連載において再三、上記のように「まずは利益の確保を優先すべき」とお伝えしてきました。当時は利益優先営業をしてもその後の「仕掛け」で回復の道筋が見えたのです。

しかし特に新要件機種が増えた昨今では、機種の魅力がないこともありなかなか思ったような結果が出せなくなっています。こういった状況では利益を最優先した営業よりも、「まずは平常の稼働を確保する」ことが先決でしょう。

また、過去から言われているパチンコ店のセオリーである「放出は集中、回収は分散」についても現在はその通りとは言い難いです。このセオリーの基本的な考え方は、
・目立たせたいことはまとめるべき
・目立たせたくないことは薄めるべき
というものですが、今この考えどおりの出し方を志向すると、
・出るときは一瞬だけ
・逆にいつ行っても出ていない
となってしまいます。ここでも「一点集中」よりも「平常からの稼働」を優先した方がよいと思えます。

このように最近は、「これまでの正しいこと」が通用しなくなっていると感じます。確かに過去では上記のような手法、考え方で結果を出してきたことがあるとしても、もしも今思うような結果が得られていないならば、「セオリー、基本」だとされていたことでも固執してはいけないと思います。

もちろん利益は重要です。だからと言って度を過ぎた利益確保に走ってしまうとその後の回復、復活はこれまでの手法が通用しないことでさらなる悪化を招いてしまいます。

そもそもド底辺ホールは、普通の営業ができるホールよりもむしろ利益に対する考えや行動はシビアだと思います。なぜなら普通の営業ができるホールでは稼働低下を感じた場合には追加投資(出玉の放出、大きめの新台入替など)ができますが、ド底辺ホールでは「そのようなことをしたいなら、まず確保しろ」となり、そもそも出発点が違うからです。そして利益にシビアだからこそ現状に危機感があり、なおのこと利益率を高めなければならなくなり、さらに稼働の低下を招くという悪循環に陥ります。この悪循環を断ち切らないといつまでも下降のらせんから抜け出せません。

今すべきことは「稼働の“維持”」を図ること、そのために必要なことは入替でもイベントでも放出でもなく、「平常営業を重視する」ことです。お客様が安心して楽しく快適に遊技ができる環境を整えることに注力すべきであり、それは遊技機メンテナンスではなく、「お店、商売」であることを強く意識して「お店としてお客様を迎える体裁を整える」ことです。


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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。著書に「ジリ貧パチンコホール 復活プロジェクト」(幻冬舎)がある。

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