「メンテナンスではコントロールできない客滞率に踏み込む」

2018.07.20 / 連載

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(171) 客滞率の重要性

皆さんこんにちは、アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。先週7/19日(木)、綜合ユニコム様主催「計数管理研修基礎編」が開催されました。受講していただいた方、ありがとうございました。今回は基礎編と応用編が1カ月の期間を空けての開催で、次回は8/23(木)、応用編を開催いたします。

さて今回も計数管理に関するお話をお伝えします。今回は「客滞率の重要性」についてです。

割数=売上玉に対する景品玉の比率の計算は、S、B、TS、TY、客滞率の5つのデータを用います。つまり、遊技機メンテナンスではコントロールできない「客滞率」も割数を変化させる要因です。当然、客滞率が上昇すればその他の項目が同じであっても割数は上がり利益を減らすことになり、逆もしかりで、客滞率が下がれば割数は下がるのです。遊技機メンテナンスを全くしなくても、です。

上記のことは「感覚的には」把握しているかもしれません。しかし、これにしっかりと対応するために計数管理が必要になります。数字で確認をするとかなりの違いになることに驚きます。

ここで図をご覧ください。
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これは、遊技機メンテナンス項目は同じで客滞率だけが140%と200%で比較計算した割数です。ざっと見て、メンテナンスを一切しなくても割数が上昇していることがわかると思います。

これを「たった0.3の上昇」と捉えてはいけません。客滞率の数値はおおよそ平日(140%)と週末(200%)を表したものです。一般的に平日と週末は150%程度の稼働比を示すので、仮に平日稼働が10,000発、週末稼働を15,000発として利益計算をしてみます。なお、条件は「玉単価1.50円、11.0割分岐」とします。

① 客滞率140%のとき
台売上 1.50円×10,000発=15,000円
利益率 (11.0-10.6)÷11.0×100=3.64%
台粗利 15,000円×3.64%=546円

② 客滞率200%のとき
台売上 1.50円×15,000発=22,500円
利益率 (11.0-10.9)÷11.0×100=0.91%
台粗利 22,500円×0.91%=205円

通常、営業では「土日は平日よりも多い利益の確保」を求められます。感覚としては「多少割数が上がっても、稼働の上昇で利益は取れるはず」と思いがちですが、実際は上記計算のとおり大きく減少してしまいました。

また、例えば海物語に関しては「平日も土日も同じで~」という営業施策が考えられます。このときの「同じ」という意味には、
・同じ「利益額で」
・同じ「利益率で」
・同じ「回転数で」
といろいろな意味があります。「同じ回転数で~」という意味ならば問題はないですが(この場合、利益減少を織り込んだ計画が必要になりますが)、そうでなく「同じ利益額~」にしても「同じ利益率~」にしても全く結果が得られないことになります。むしろ「差し引き」で考えると大きなマイナスです。
※同じ利益額で、と考えていた場合▲341円
※同じ利益率で、と考えていた場合▲614円(3.64%なら819円あったはず)

業績を上げるにはお客様の期待に沿った営業を継続していかなければなりません。つまり「出すべきときに、出す」営業です。そしてそのためには財源確保として「取るべきときに、取る」営業をしなくてはいけないのです。つまり週末(もしくは大型連休など、「取るべき日」)に確実に取れたお店が強くなります。

細かい計算をしっかりと行い、取りこぼしをしないようにしてください。




綜合ユニコム様主催「計数管理研修 応用編」が開催されます。
今回は基礎編と応用編が1カ月の期間を空けての開催になり、より受講しやすくなりました。また基礎編、応用編のどちらかのみの受講も可能です。
なお両日とも東京ガーデンパレスにて開催いたします。

■ 応用編 2018年8月23日(木) 13:00~17:00
[応用編]では、基礎編で学んだ基本用語と基礎知識を活用してより実践的な遊技機の運用についてお伝えします。特に日々の営業に関する悩みは計数管理を理解することで解決できることを学んでいただきます。

応用編の最後には、まとめとして遊技機管理の知識を計画に落とし込むための考え方を学習し、日々の営業で活用することができるようになっていただきます。

1.実践シミュレーション
・遊技機シミュレーションの考え方
・シミュレーションの組み立て方
・競合店の遊技機運用を推測する
2.営業への活用
・どうしても割数が落ちないときにどうするか
・体感スタートとHC(ホールコンピュータ)スタートの違いとは
・ベース管理が勝敗を分ける
・玉粗利ではなく玉単価を見る
・客滞率の重要性を理解する
3.営業計画の作成
・年度計画作成のポイント
・月間計画作成のポイント
・機種別計画作成のポイント
・メリハリの考え方
・進捗確認(週間集計)と修正のポイント

詳しくは下記綜合ユニコム様HPでご確認をお願いします。
皆さまのご参加、お待ちしております。
http://www.sogo-unicom.co.jp/pbs/seminar/2018/0712.html
http://www.sogo-unicom.co.jp/pbs/seminar/2018/pdf/20180712_0803.pdf

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。著書に「ジリ貧パチンコホール 復活プロジェクト」(幻冬舎)がある。

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