「マーケティングの4p」と言われていますが……

2019.02.09 / 連載

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(200) Prime AIセミナー(3)

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。

3/8(金)、東京・上野のオーラムにて開催される「PrimeAIセミナー」に登壇いたします。今回のメインテーマは新基準機および6号機への完全移行に向けて今できることの提示となっており、サン電子株式会社情報戦略部の長谷川武亮氏、有限会社TKC代表取締役の高橋正人氏のお二人とともに「遊技機に頼らない営業戦略」についてお話しする予定となっています。

前々回からこのセミナーで私の担当する内容についてお伝えしており、今回は「マーケティングの新視点」についてお伝えいたします。

「マーケティングの4P」という考え方(戦略)があります。
・Product(製品)
・Price(価格)
・Promotion(販売促進)
・Place(流通)

の4つの視点からマーケティングを考えるもので、「適切な商品を適切な価格で、適切な販促をかけて適切な流通に乗せることで、必ず売れる」というものです。これをパチンコ店の営業に置き換えるならば、

・製品=遊技機
・価格=玉粗利、玉単価
・販促=販促、イベント
・流通=機種配置

となるでしょう。つまり、「人気のある遊技機をそろえて適正な玉粗利や利益率で運用し、その遊技機の魅力を伝える告知やイベントを行い、その遊技機の設置場所がわかりやすいシマ構成にすれば、必ず稼働が伸びる」ということです。

もちろんこれら4Pがすべてできるとは限らないとしても、例えば価格戦略を重視する、販促戦略を重視するなどで製品面でのマイナス面をカバーするという考え方もできます。というか、これまでのパチンコ業界はこのような戦略、施策を重視してきたといえます。「どこに行っても同じ遊技機しかないので、差別化のために玉利の見直しやイベント、販促の強化を図ってきた」です。しかし近年はイベントや広告宣伝の規制が強化されたことで4Pにおける価格戦略や販促戦略がしづらい状況です。

さて、現在では従来的なマーケティングの4Pに加えていろいろな「P」の視点も必要ではないか、という考え方が起こっています。代表的な「P」は以下の6つです。
・Profile(個客プロフィール、個客管理)
・Process(コミュニケーションプロセス、販売プロセス)
・Personnel、またはPeople(販売員、接客要員、ヒト)
・Participation(顧客参加、顧客関与)
・Package(パッケージ、包装)
・Popularity(大衆性・人気)
私はこのうち、特に「Personnel(ヒト)」と「Profile(個客プロフィール)」が重要だと考えています。

① Personnel(ヒト)
立派な外観、内装で機種もそろっているお店でも、それが繁盛店であったり逆にお客様が少ないお店があったりとまちまちです。この差は従来の4Pだけでは説明がつきません。結局この差は、そこで働く現場のスタッフの意識の差からきています。企業(お店)がどれほど環境を整えても、最終的に顧客と接するのは現場のスタッフなのですから、「適切な接客スキルとモチベーションを持ったスタッフ」の存在が業績向上には欠かせないと考えます。

② Profile(個客プロフィール)
「顧客生涯価値(LTV)」という考え方があります。「一人の顧客が長期にわたって落としてくれる利益を重視する」というものです。成長期にある業界ならばどんどん新規開拓をして顧客を増やすことができますが、衰退期に差し掛かった業界では新規顧客が増えづらいので、今の顧客を維持し、その顧客と長期的な関係を築くことで利益を確保すべきという考え方です。そのためには顧客一人一人を見る営業が不可欠であり、またそれには上記「Personnel」の向上も必要となります。

パチンコ業界では、過去、何度も危機を迎えてきました。そしてそのたびに(意図していたかどうかは別として)「マーケティングの4P」に沿った解決がなされてきました。

・遊技機の撤去 → 新しい遊技機の登場(製品戦略)
・遊技機性能の内規規制 → イベント実施(販促戦略)
・イベント、広告宣伝規制 → 低貸玉営業(価格戦略)

などです。しかし今回はこれまでのような4Pに沿った解決策は見つかりそうにありません。だからこそ、新しい考え方の「P」を取り入れての解決を考えるべきです。今までのような遊技機やイベントに頼るのではなく、です。

「業界的パラダイム(ものの見方、考え方を支配する認識の枠組み)」を変えるべきときは、「今」です。


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おかげさまでこの連載「コンサルティングの現場より」も今回で200回目を迎えることができました。毎週アクセスしていただけている読者の皆様に感謝です。これからも300回、500回、1000回を目指して毎週、ヒントになる記事を提供していきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

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■    PrimeAIセミナー開催
2018年3月8日(金)、東京上野オーラムにてPrimeAIセミナーが開催されます。今回はメインテーマを「新基準機、6号機完全移行に向けて、今できること」とし、サブテーマは「迫る消費税率引上げ、備えは待ったなし!!」としています。
<登壇予定者>
サン電子株式会社 情報戦略部 長谷川武亮氏
有限会社TKC 代表取締役 高橋正人氏
アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹


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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。著書に「ジリ貧パチンコホール 復活プロジェクト」(幻冬舎)がある。

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